黒魔術-Dark Majic- Part3/微熱と雪風を憎む者たち
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明かした今のキュルケの言葉を聞くまではすっかり忘れていた。
「それで、お話とは何でしょう?」
「私たちの推薦人についてです!」
「推薦人?」
「先輩、推薦人というのは…」
なんのことだろうと首をかしげるシュウ。それをクリスが耳元で説明を入れてくれた。
今度の学園祭、このルイズとキュルケという、目に余るほどの喧嘩を繰り返す二人の仲を取り持つのが最大の目的なのだが、ここで本学校のミスコンにおけるルールによる意見の衝突が生じていた。各参加者は、自分を立てる推薦人というものを決めなければならないというものだ。それはお互いに別々の人間でなければならず、当然教師はカウントされない。
「なるほど、あの二人は…」
シュウはちらっと、自分に向けられた視線に気づいて疲れきったような顔のまま「私めです…」と手を挙げてきたサイトと目が合った。サイトを他の異性よりも信頼してるため、二人とも同じ推薦人を指名したのだ。
「でも、同じ推薦人を選ぶことはできない」
そう、タバサの言う通りミスコンのルールでは同じ人間を指名することは禁じられている。ならどちらか片方が別の推薦人を絶たせる必要があるのだが…こうして生徒会室まで来た理由を察した。
「わ、私は別にあんたを選んだわけじゃないんだから!他に頼めそうな人がいないから仕方なくなんだから…勘違いしないでよねサイト!」
「あたしはダーリンしか思いつかなかったからお願いしたのよ?」
聞いての通り、あの二人は何が何でも自分たちの推薦人をサイトに指名し、それを互いに譲るつもりは全くないのだ。
「あの、これ…辞退するってのはなしですか…?」
サイトが聞きづらそうに、それでも僅かな希望によりすがるようにアンリエッタに尋ねるが、申し訳なさそうに彼女は首を横に振った。
「平和的解決を考えるならそうした方が良いとは思うのですが、ここまでお二人が申し込んでいるのにどっちも選ばないと言っても、二人は…」
「逃げるのなんて絶対に許さないんだから!」
「こればかりああたしもルイズに同意しますわ」
やはりサイトの希望は見事に打ち砕かれた。逃げ場はない。奇妙な四面楚歌状態のサイトはめちゃくちゃ悩みに悩むと…一番ここで断ったら後がやばいという理由で、
「ルイズを…おふ!?」
「あぁん!手が滑っちゃった!」
しかしルイズを指名しようとした瞬間、キュルケが自身の胸元にサイトの顔を無理やり押し込めた。
「ちょっとキュルケ!何を間違えたらそうなるのよ!サイトから離れなさい!」
キュルケの色仕掛け作戦に、ルイズがご立腹だ。当然サイトがこれで自分を選ばせるようにしているに違いない。
「ねぇダーリン、あたしこの前変なのにも襲われてたのよ。だから愛しのダーリンに守ってほしいの。もし引き受けてくれるなら…もっとイ・イ・コ・ト…してあげるわよ?」
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