第6章:束の間の期間
第194話「合間の出来事・前」
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「そこまで、危険な事件だったんですか……」
椿と葵に至っては、再召喚がなければ死んでいた扱いになるほどだ。
優輝もボロボロになり、感情を代償にしなければ守護者には勝てなかった。
……振り返れば、振り返るほどに、ギリギリの戦いだったのだ。
「ロストロギアによる、災厄の再現……と聞きましたけど……」
「それによって出現した敵が強すぎたのよ。詳しくは、あまり話せないけどね……」
「危険さを表現するならば、魔導師ランクがAA以上の者を10人以上で対処させても手に負えない程だな。中には、AAAランクもいたのに関わらず、だ」
それは、魔法世界の住人にとってどれほど“やばい”と思わせるのか。
Aランクの魔導師で優秀と言われる程だ。それ以上の人材が10人以上で歯が立たない。
しかも、司に至ってはジュエルシード使用時は実際に測っていないとはいえ、SSSランクを超えると断定できる程なのだ。
……それが、歯が立たなかった。
「……正直、信じられないです」
「まぁ、嘘か悪夢としか思えないだろうな」
「問題なのは、それを成した敵がたった一人な事なんだよねー……」
「――――――」
続けられた葵の言葉に、ティアナはさらに言葉を失った。
ただでさえ、優秀な人達が束になって敵わなかったというのに、その敵は複数ではなく、たった一人なのだ。
まるで、雲の上の存在かのようにしか思えなかった。
「……そんな存在、どうやって倒したと言うんですか……!?」
その言葉は、至極当然の質問だった。
「“質”が足りないのなら、“量”で補う……。現地協力者と共同して、総力戦よ。最大戦力をぶつけるしかなかったの」
「…………」
ティアナにとって、優輝達から聞いた事件の印象はそこまで大したものではなかった。
偶々ロストロギアが管理外世界で起動し、災厄が呼び起こされた。
そんな印象でしかなかったのだ。
だが、その実態はS級ロストロギアと言える程危険な事件だったのだ。
言葉を失うのも当然だった。
「上手く連戦に持ち込んで疲弊させたのも大きかったな。徐々に戦力差を縮めて、こちらも諦めずに戦い続け……ようやく、だ」
「……それほどまで……」
守護者と戦い続けた者から死人が出なかったのは、奇跡に等しかった。
しかも、この場では明かしていないものの、結局倒しきれなかったのだ。
「―――む……?」
その時、優輝が何かに気付いたように顔を他所に向けた。
……もし、この時優輝が顔を向けなかったら、ティアナが“その言葉”を聞く事はなかったのかもしれない。
「どうしたんですか?」
ティアナが疑問に思って、同じ方向を見る
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