第6章:束の間の期間
第194話「合間の出来事・前」
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「気にしないで」
ティアナの隣には葵が座り、対面じゃない事を少し気にする。
「とりあえずは、これからの事について軽く話すわ」
椿がそう切り出して、これからの事を話す。
葬儀をどうしていくかや、その後のティアナの暮らしはどうなるかなど。
分かりやすく噛み砕いた形で、椿はティアナに伝える。
「―――以上が、これからについて、軽く説明したけど……質問はあるかしら?」
「……いえ……」
一通り説明し終わり、そのタイミングで優輝が沸かし終わったお茶を淹れる。
「……葬儀に関して以外で、何か聞きたい事とかは?」
「あの……いえ、特には……」
俯き、何かを言おうとしても引っ込めるティアナ。
優輝が淹れたお茶を飲みはするのだが、明らかに思い詰めていた。
「ティアナ……と言ったわよね?」
「は、はい……」
「今、霊術……魔法とは違う技術で周りには音が聞こえないようになっているわ」
「は、はぁ……?」
唐突な切り出しに、ティアナはどういう事なのか理解できずに首を傾げる。
「……だから、これ以上背負い込まないで。悲しかったら、泣いていいんだよ?」
「ぇ……」
葵のその言葉に、ティアナは息が止まったのかと錯覚した。
ティアナにとって、隠していたつもりの感情が見抜かれていたからだ。
「……ぁ……」
押し留めていた事を見抜かれて、その感情を抑えていた“蓋”に穴が開いたのだろう。
まるでそこから決壊していくように、ティアナの目から涙が溢れてきた。
「……ぅ……ぁ、ぁあああああああああああああああああ!!!」
一度決壊したものは、簡単には戻らない。
今までの不安と、真実を知った時の絶望が溢れ、ティアナは大声で泣いた。
「(前世から記憶を引き継いで精神が成熟している優輝と違って、彼女は本当にただの子供。……大事な家族を喪った悲しみは心への負担が大きいでしょうね)」
「(……辛いのに、それを抑え込もうとするなんて、本当に強い子だよね)」
泣くティアナを、葵が優しく抱き留める。
優輝達は、元々ティアナに今回の事を伝えたら大きなショックを受けるだろうと予測していた。そのため、一番優しく受け止められる葵が隣に座っていたのだ。
「(存分に泣きなさい。疲れ果てて眠ってしまうまで。……私達は、貴女に付き合うわ)」
慰めの言葉を掛ける事もなく、ただただ寄り添う。
下手に慰めるよりもこちらの方がティアナにとっていいからだ。
「すみません……人前で……」
「いいのよ。下手に我慢されるよりはね」
しばらくして、ようやくティアナは落ち着いた。
涙の後は残り、未
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