暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第6章:束の間の期間
第194話「合間の出来事・前」
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…」

 少女の名はティアナ。……ティーダの妹だ。

「(……お願い、無事に帰ってきて……)」

 何週間と家に帰ってこない兄を心配して、ティアナは心細くなっていた。
 地球で起きた出来事は、例えミッドチルダに伝わったとしても、大々的に知られる事はあまりない。

「(……お願い……!)」

 それ故に、ティアナは地球で起きた事を知らない。

「……あっ……!」

 その時、家にあるインターホンが鳴る。
 ティアナはその音を聞いて、つい期待して玄関へと向かう。
 ……兄が帰って来たのだと思って。

「っ……!あ……」

 だが、玄関を開けた先にいたのは、兄であるティーダではなかった。
 そこにいたのは、優輝達だった。

「貴方達は……」

「……言いにくい事だけど、伝える事があるわ」

 ……知らされず、不安になっていた。
 だからこそ、椿が語ったその内容は、ティアナを絶望させるのは必然だった。







「………」

 優輝達がミッドチルダに着いたのは、葬儀の二日前。
 殉職者を一斉に弔うためと、文化が違うため、日本の様式とは細かい所が違う。
 だとしても、ティアナに伝わらなかったのには、一つ理由があった。

「一応の知り合いであり、一番年が近い事もあって、私達が貴女の家に伝えに来たの」

 その訳は、偏に異常事態が続いているからだった。
 ティーダ以外にも殉職した者もおり、様々な対処に追われて手が回らなかったのだ。

「……そう、ですか……」

 溢れ出る感情を抑えつけたような声で、ティアナは椿の話に相槌を打つ。

「椿、葵」

「何かしら?」

「何かな?」

「……任せる」

 そんな様子のティアナを見て、優輝は椿と葵に事の成り行きを任せる。

「分かったわ」

 感情を失っている優輝では、どう声を掛ければいいか分からない。
 いや、わかったつもりで言葉を掛けて、さらに心を抉るかもしれない。
 そう考えて、椿と葵に任せたのだ。

「……一旦、上がってもいいかしら?」

「……どうぞ。大したおもてなしは、出来ませんけど」

「お茶くらいなら、自分で淹れるから構わないわ」

 まずは家に上がる。
 さすがに玄関先で話を続ける訳にもいかないからだ。





「……すみません。本来なら、私がすべき事なのに……」

「いいのいいの。優ちゃんなんか手持無沙汰になっちゃうから、むしろやらせといた方がいいんだよ」

 “客にお茶の用意をさせる訳には”と言うティアナを押し切り、椿と優輝で用意する。
 葵がティアナを椅子に座らせ、椿も優輝に指示し終わったのか対面に座る。

「あ、あの……」

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