第6章:束の間の期間
第194話「合間の出来事・前」
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
…」
少女の名はティアナ。……ティーダの妹だ。
「(……お願い、無事に帰ってきて……)」
何週間と家に帰ってこない兄を心配して、ティアナは心細くなっていた。
地球で起きた出来事は、例えミッドチルダに伝わったとしても、大々的に知られる事はあまりない。
「(……お願い……!)」
それ故に、ティアナは地球で起きた事を知らない。
「……あっ……!」
その時、家にあるインターホンが鳴る。
ティアナはその音を聞いて、つい期待して玄関へと向かう。
……兄が帰って来たのだと思って。
「っ……!あ……」
だが、玄関を開けた先にいたのは、兄であるティーダではなかった。
そこにいたのは、優輝達だった。
「貴方達は……」
「……言いにくい事だけど、伝える事があるわ」
……知らされず、不安になっていた。
だからこそ、椿が語ったその内容は、ティアナを絶望させるのは必然だった。
「………」
優輝達がミッドチルダに着いたのは、葬儀の二日前。
殉職者を一斉に弔うためと、文化が違うため、日本の様式とは細かい所が違う。
だとしても、ティアナに伝わらなかったのには、一つ理由があった。
「一応の知り合いであり、一番年が近い事もあって、私達が貴女の家に伝えに来たの」
その訳は、偏に異常事態が続いているからだった。
ティーダ以外にも殉職した者もおり、様々な対処に追われて手が回らなかったのだ。
「……そう、ですか……」
溢れ出る感情を抑えつけたような声で、ティアナは椿の話に相槌を打つ。
「椿、葵」
「何かしら?」
「何かな?」
「……任せる」
そんな様子のティアナを見て、優輝は椿と葵に事の成り行きを任せる。
「分かったわ」
感情を失っている優輝では、どう声を掛ければいいか分からない。
いや、わかったつもりで言葉を掛けて、さらに心を抉るかもしれない。
そう考えて、椿と葵に任せたのだ。
「……一旦、上がってもいいかしら?」
「……どうぞ。大したおもてなしは、出来ませんけど」
「お茶くらいなら、自分で淹れるから構わないわ」
まずは家に上がる。
さすがに玄関先で話を続ける訳にもいかないからだ。
「……すみません。本来なら、私がすべき事なのに……」
「いいのいいの。優ちゃんなんか手持無沙汰になっちゃうから、むしろやらせといた方がいいんだよ」
“客にお茶の用意をさせる訳には”と言うティアナを押し切り、椿と優輝で用意する。
葵がティアナを椅子に座らせ、椿も優輝に指示し終わったのか対面に座る。
「あ、あの……」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ