黒魔術-Dark Majic- Part2/狙われた者たち
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し自分にうんざりする。ここ最近どことなくデジャヴを抱えることが多くなってきた。ウルトラマンの力に関してもそうだ。ずっと前に授かったような感覚さえある。それだけこの超人的な力が馴染んでしまっているのだろうか。
「……悪いけど、帰る前に少しだけ話をしていかないか?」
デジャヴのことを適当に頭から払って帰ろうと思ったところで、アスカがシュウに言った。
「…あまり時間はかけたくない」
一応憐たちに、ティファニアが男子生徒たちからのミスコンへの勧誘を避けられるよう、一緒に帰ると告げている。普段と違う下校路を行っていたから当然その時間も違う。楽屋へ戻る時間も必然に変わる。下手に心配をかけるようなことはしたくないので一言それを言った。
「大丈夫だ。本当に時間をかけたりしねぇよ」
「…では、話とは?」
早く教えてほしいと催促するように、シュウはアスカに言う。どこかせかしているようなシュウに対して、アスカはさっきまでの調子のよい表情から一転して、真剣な顔つきでシュウに尋ねてきた。
「お前、今の自分を不思議に思ったりしないか?」
「…?どういう意味だ?」
「そうだな…しいて言えば、今この世界に自分はなんでいるのか、とか。どうして世界は今こんな形をしているのか…とか」
「はぁ…?」
ますます意味がわからなくなった。この世界が今の形を?なんでいるか?そんなことどうでもいいし、これが当たり前ではないか。
憐や尾白、愛梨がいて、平賀やヴァリエール、ティファニア…様々な人たちがこの世界で日々を過ごしている。昔からずっとそうしてきた。ただそれだけのことだ。
「…いや、変なことを聞いたな。ちょっと訊いてみたくなっただけだ」
大した質問じゃないぜ、とアスカは言うが、だったらこうして引きとめる意味があったのだろうか。短い時間だが無駄な時間を費やされた気持ちになる。
今度こそ帰ろうとしたところで、またアスカが引き止めてきた。
「シュウ」
「…なんだ」
もうそろそろ帰路に帰りたいと考えていたシュウに、アスカは弟に大切なことを教える兄のような優しい口調と顔で言った。
「お前さんは頑張ってきた。この先もきっとな。
だからよ、新しい夢を抱いてもいい。
夢を簡単に諦めずに、幸せになっていいんだぜ」
それを最後に、帰路を辿って帰宅するシュウ。
あの言葉の意味を、シュウは理解できなかった。なぜ初めて会った人間に対してこんな風にアスカは言ってきたのか。
(あの男、なんなんだ?)
なんだかある種の気味悪さを覚えた。前々から自分を知っていたかのような口ぶりに思える。自分の心の奥底を見ているような…。
―――わからないの?
(!)
誰かの声が聞こえ、シュウは足を止めた。幻聴?それとも近くで話し声でもしているのか?
…いや、気に留めるほどじゃない
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