黒魔術-Dark Majic- Part2/狙われた者たち
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頃のはずだ。
「悪い。もう時間が遅いそろそろ帰るよ」
なので断ろうと思って席を立つと、エマが切なそうな視線をシュウに向けていた。
「だめですか…?」
…その視線がずるいと思わざるを得なかった。孤児たちの世話をしているテファとマチルダの手前、断るのが心苦しい。
「…じゃあ、一曲だけ聞いてから帰る」
結局一触聞いてからということで譲歩した。
シュウが子供を苦手とする理由、喚かれるのも泣かれるのも嫌だし、罪悪感もプラスされていろいろ厄介に思っているからである。
「みんな集まったか?」
「はーい!」
ギターを携え、庭の中央の木箱を椅子に座るアスカに、集まった子供たちが手を挙げて一斉に返事する。
「いい返事だ!今からこのアスカ・シンの特別ソロライブを始めたいと思いまーす!!!」
子供たちは大盛り上がりだ。よほど楽しみなのだろう。後ろからテファとマチルダと共に見ていたシュウにもそれが伝わった。
みなが静かになったところで、アスカはギターの弦を弾き、歌いだした。
澄み渡る空、人の勇気、夢…そして、
ただ一人、大切な人を守りたい。
それを切に願う歌だった。
アスカが最後の歌詞を伸ばしながら歌い終えたところで、子供たちとテファ、マチルダの二人からの拍手喝采が沸いた。
なるほど、よい曲だと思った。エマという少女が聴くのを勧めてきたのもわかる。この歌は幾度聴いても、そう思うしかない。
シュウは、ウルトラマンである。今のアスカの歌は、その使命を全うしなければならないという思いを強くさせた。
この町には、大切な友人たちがいる。今となりにいるテファや、ここにいる子供たちにとっても大切な時間を過ごすかけがえのない場所だ。
それをあんな醜い怪物共などに壊させてなるものか。
そうと決まれば、ということでシュウは子供たちが孤児院内に戻っていくのを見届けたところで帰路を行こうとした。
「待ってくれ」
しかし、門の向こうへ踏み込もうとしたところで、自分を引き止める声が聞こえる。振り返ると、素人ながら先ほど名曲を披露してくれたアスカがそこにいた。
「よう」
「何か用ですか?」
シュウは丁寧にアスカに問うと、アスカは屈託のない笑みを浮かべてくる。
「いや、ちょっとお礼を言いたくてさ。ティファニアを無事に送ってくれてありがとな。それと俺のライブも聴いてくれて嬉しかったぜ」
「いえ、こちらこそ良い時間になりました。あなたの歌もティファニアのそれとはまた違った魅力が…」
ライブというには質素だがな、とは思うが敢えて口にしない。本人の歌唱力もあっていい歌だ。ティファニアの澄んだ美しい声による歌とはまた違った魅力が……
(いや、待て…!
…ティファニアの歌?そんなのいつ聴いた?)
またデジャヴか。シュウは少
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