黒魔術-Dark Majic- Part2/狙われた者たち
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「あの、先輩?どこかお体の具合でも…」
気が付けば、記憶の混乱が生じて顔を手で覆っていたところを、テファに心配されていた。彼女の呼びかけに、頭に浮かんでいた幻想事頭を振り払う。
「っ…いや、どこかで聞いたことがあった気がしたから、記憶をたどっていただけだよ。
アスカ・シン…確か、現職の野球選手で、名投手アスカ・カズマの息子。彼もまた凄腕ピッチャーとして名を馳せている…でしたか?」
「そうだよ!アスカ兄ちゃんすげーんだからな!!こんな風に!」
シュウがテレビで知ったアスカに関することを口にしていると、突如後ろから子供が飛び出してきた。
それだけでなくその子供は、自慢するつもりからか手にもっていたボールを壁に向けて投げてみせ、壁からバン!と大きな音を立たせた。
あまり顔に出さなかったが、シュウは思わず肩をビクッと震わせた。
「!?」
「こらジム!お客さまを驚かせちゃダメでしょ!壁にボール投げるなって言ってるだろ!」
「えへへ、ごめんなさいー!」
マチルダから注意を入れられたジム少年は、舌を出しながら逃げていった。
「ごめんなさい、先輩」
「いい、そこまで大人げないつもりはない」
テファから謝られたが、いたずら小僧にも困ったものだ、と心の中で呟いたシュウは自分に用意された紅茶を啜った。
子供はそのジム一人だけではない。もう一人幼い少女もやってきて、興味深そうにシュウの顔を覗き込んできた。
「お兄さん、お客さん?」
「ああ…そうだが?」
「もしかして、お姉ちゃんの恋人さん?」
爆弾投下。テファは顔をぼう!と赤らめ、立ち上がって少女に否定した。
「ち、ちちち違うわ!何を言い出すのエマ!?」
めちゃくちゃ慌てふためいている。この手の話には、特に自分のことになると耐性がないせいで顔から火が出てしまうようだ。
「…すまないが、そんな関係じゃないんだ」
これではテファは恥ずかしい思いばかりをするだけだ。シュウが一言冷静に告げると、エマと呼ばれた少女はなーんだ、とつまらなそうな反応を示す。
が、その反応はなぜかテファも同じだった。
「…ティファニア、なぜ俺を睨んでいるんだ」
「いえ、別に…」
シュウは彼女の反応の意味を理解していない。テファは、シュウが全く慌てずに冷静に否定してきたのが気に入らなかった。一人恥ずかしがってる自分が馬鹿らしくなるし、自分は女として見られていないのかと思ってしまう。
「まぁいいや。それよりお兄ちゃん、せっかく来たんだし、アスカ兄ちゃんのお歌聞いて行こうよ」
「歌?」
「うん、お兄ちゃんお歌がすごくうまいんだよ!」
エマが歌の鑑賞に誘ってきたが、シュウはあまり乗り気ではなかった。流石に今の時間、遅くなりすぎた。そろそろ家として使っている遊園地の楽屋に戻らないといけない。憐も帰りを待っている
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