【対等で在れるなら】
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せんよ」
少しいたずらっぽい笑みを見せるネジにヒナタは頬が熱くなって恥ずかしさでつい下向く。
「あなたが急に俺を呼び捨てにし出したら周囲が不思議がるでしょうから、いつもの呼び方でいいです。それとは逆に俺があなたを呼び捨てにしたら、日向家内で疑念を持たれ兼ねないですし……」
「そんなこと、ないと思う……。わたしは日向家の落ちこぼれだし、表向きは宗家でも下忍として任務を受けて普段外に出ているから、ネジ兄さんがわたしを敬称で呼ばなくなったからって誰も不思議に思わないよ、きっと……」
ヒナタのその弱々しい言葉に、ネジは小さく溜め息をつく。
「あなたは?──ヒナタは、そうやってすぐ自分を卑下したがるのは悪い癖だ」
「え……」
「中忍試験の俺との予選試合で見せた気概はどうした? ヒナタは、ここぞという時にはヒナタなりの諦めない強さを発揮出来ていたはずだ。何度となく倒れても、立ち上がっただろう」
(それは、ネジ兄さんにわたしをもっと見てもらいたくて……それと同時にあの時、ネジ兄さんに殺されてもいいとすら、思ってたから……。ネジ兄さんが苦しんでいたのは全部、わたしのせいだから──)
ヒナタの心の内は言葉にならなかったが、ネジはそれを察したかのように言葉を掛ける。
「ヒナタは決して弱いわけじゃない。……これから共に、強くなっていけばいい」
「うん……、うん…! ありがとう、ネジ兄さん……」
ヒナタは申し訳なさと嬉しい気持ちで一杯になり涙が溢れ、ネジはそれを見て少し動揺する。
「な、何も泣くことは……。ほら、ハンカチ」
「あ、ありがとう……ずびっ。──あ、後でちゃんと洗って返すね」
「あぁ……思ったより普通に話せたとはいえ、これからはその……二人だけの時になるべく敬称はやめようと思う。それでいいか、ヒナタ」
「うん、いいよ。……わたしがネジ兄さんに敬語で話さなくても、尊敬してることに変わりはないからねっ」
ヒナタはやっとネジと対等になれた気がして、気持ちはとても晴れやかだった。
この先もずっと対等で在れたらいいとヒナタは願い、ネジ自身も宗家分家は関係なく仲間として、日向一族の家族として対等で在ることを、願ってやまなかった。
《終》
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