【対等で在れるなら】
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ナビ様が報われません。幼い頃より次期当主となるべく厳しい修業を課せられているのですよ。そんな軽率に、ハナビ様の努力を無下にするわけにはいかないでしょう」
「そう……ですよね、ごめんなさい……。本来なら、嫡子のわたしがその立場でないといけなかったのに、わたしが弱くて次期当主に相応しくないばかりに、五つ下の妹のハナビに負担を押し付けてしまっているのは他でもない、わたしなんですよね……」
「…………」
ネジはヒナタの言葉を否定も肯定もするでもなく黙っている。
「ネジ兄さん、わたしに……定期的に修業をつけてくれませんか?」
「俺があなたに……ですか」
「はい。父上は、やっぱり……わたしより跡目のハナビやネジ兄さんに修業をつけることを優先しますし、わたしはネジ兄さんから修業をつけてもらいたいんです。もちろん、ネジ兄さんの負担にならないくらいでいいですから……」
「…………」
ネジはすぐには答えないが、ヒナタは言葉を続ける。
「ネジ兄さんに、少しでも近づきたくて。あ、えっと、近づきたいというか追いつきたいというか……わ、わたしがこんなこと言うなんて、百年早いですよね。ううん、千年くらい──」
「フ、大袈裟な物言いですね。いや、まぁそうかもしれませんが。……いいですよ、都合がつけばいつでもお相手します」
不意に笑みをこぼしたネジにヒナタはほっとしたと同時に、笑ってくれたことに嬉しさがこみ上げる。
「えっと、その……わたしとネジ兄さんが対等なら、やっぱり敬称や敬語は必要ないと思うんです」
「そう言われても……そもそもあなたも俺に対して敬語ではないですか」
「それは、わたしがネジ兄さんを尊敬しているからです…! ネジ兄さんは、わたしが宗家だからって理由だけで敬称や敬語を使っているんでしょう? 大体、和解する前は……敬称は使っても割とタメ口だったじゃないですかっ」
「いや、それは……あなたに、理不尽な憎しみを向けていたからで──」
いつもオドオドしていたヒナタがハキハキと物を言うので、ネジは若干困惑した表情で気後れしている。
「敬称無しで……呼び捨てにして下さい」
「ひ、ヒナタ?─さま」
「呼び切れてないです、ネジ兄さん」
ヒナタは少し頬を膨らませている。
「仕方、ないでしょう。初めて逢った時から、敬称で呼んでいるのですから。あなたはあなたで、俺の事はずっと“兄さん”と呼んでいるし……試しに、呼び捨てにしてみて下さい」
ネジは顔が少し熱くなるのを感じたがそれを誤魔化すように不機嫌そうな顔をしてヒナタに言葉を切り返す。
「い、いいですよ? ネジ兄──じゃなくて、ネジ……さん」
「あなたも呼び切れてま
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