Lv66 王子の決意
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極秘会談の内容は、勿論、今回の動乱の核心に触れるモノであった。
女神イシュラナが偽りの女神であるという事や、イシュラナ教団の高位神官は殆どが魔物達であったという事、レヴァンの裏切り、それから真実を映すラーの鏡の存在、そして……この動乱の後始末についてである。
俺が寝ている間にも話し合いは行われていたようで、ここにいる面々は落ち着いた様子でラーのオッサンの話を聞いていた。
それどころか、ラーのオッサンに対して、皆は普通に質問しているくらいだ。
というのも、ウォーレンさん曰く、この会談は2回目らしい。
ラーの鏡を見て、最初は全員が面食らったようだが、話を聞いている内に段々と慣れたみたいである。
話は変わるが、この部屋に来る途中、アヴェル王子とウォーレンさんからお願いがあった。
そのお願いとは、『女神イシュラナは魔物達が創り上げた偽りの女神』という事実を黙っていてほしいという事であった。
これはヴァロムさんの指示らしい。魔物達を退けたとはいえ、今はあまりに色んな事が起きている為、余計に世の中を混乱させるとヴァロムさんが判断したそうである。
その為、今回の動乱の表向きは、宮廷魔導師のレヴァンがイシュマリアを裏切り、魔物達と共に、この国を乗っ取ろうとした、という事になっているそうだ。
まぁこの判断はやむを得ないだろう。女神イシュラナの存在を消し去るには、不可能なほどに民達の心の中に浸透しているからだ。魔物達の策略を打開するのに時間が掛かり過ぎたのである。
アヴェル王子の話によると、この事を知っているのは、今のところ、極秘会談に出席している者達だけだそうである。
ちなみにだが、この場にいる俺が知らない方々は、やはり、イシュマリア八支族の太守達とラミナス公使のフェルミーア様だそうだ。
というわけで、話を戻そう。
アズラムド陛下は咳き込みながら、ヴァロムさんに訊ねた。
「オルドラン卿よ……ゴホッゴホッ……女神イシュラナは、魔物達が作り上げた偽りの女神だというのはわかったが……これをそのまま皆に伝えるつもりなのか? このイシュマリアの成り立ちすら否定するような事だぞ。それだけではない。民達はますます混乱するだろう。折角戻った平穏が乱れかねない」
先程から、時折、咳き込む姿を見せるので、あまり体調は思わしくないのかもしれない。
ヴァロムさんは陛下の言葉を聞き、少し困った表情をした。
「確かに……そこが問題でございます。あまりにも影響が大きい話ですので……」
ウォーレンさんは腕を組み、大きく溜息を吐いた。
他の皆も難しい表情で黙り込む。
そして、室内はシンと静まり返った。
(無理もない……この国を根底から覆す問題だから、こうなるのも仕方ないだろう……だが、現時点で
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