暁 〜小説投稿サイト〜
Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv66 王子の決意
[8/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
って、意味ありげに目配せをした。
 この仕草を見る限り、ヴァロムさんは何をすべきかわかっている。
 恐らく、俺と同じことを思っているに違いない。
 だが、この場はあえて、俺に答えさせたいのだろう。
(どういう意図があるのかわからんが、答えるしかなさそうな雰囲気だ。仕方ない……)
 俺は自分の考えを話す事にした。
「私もあの会談の場では、あえて言いませんでしたが……陛下の仰られる通り、民達がこの事実を知ったならば、イシュマリア王家の権威が落ちるのは避けられぬでしょう。そして、それが引き金となり、このイシュマリアが乱れる可能性も否定できません。ですが……それを解決する方法が無いわけではありません」
 2人は目を見開く。
「あるのですか、コータローさん」
「……聞かせてくれぬか、コータロー殿」
 俺は少し間を空け、彼等に告げた。
「今……イシュマリア王家の前には、2つの選択肢があります。1つは……現状を受け入れ、このままなんとかやり過ごすという選択肢。そして、もう1つは……次期国王と目される方が英雄となる選択肢です。どれを選ぶかは、よく考えて決めてください。どちらも険しい道になりますから……」
 2人は暫し無言であった。
 アズラムド陛下は目を閉じ、思い詰めた表情になる。
 そんな中、アヴェル王子が訊いてくる。
「英雄……それは……一体、どういう意味ですか……」
「文字通りの意味ですよ。魔物達が創り上げたイシュマリアの物語を、今度はアヴェル王子の手で成し遂げ、本当の物語にするのです」
「本当の物語……ですが、一体どうやって……この間はコータローさんの機転で奴等を出し抜くことが出来ましたが、私にはとてもではないが……あのアシュレイアみたいな魔物と戦うなんて事は……無理です……あまりにも奴等は強大過ぎます……」
 フェードアウトするかのように、言葉は段々と尻切れになってゆく。
 奴等の力を目の当たりにして、流石のアヴェル王子も怖気づいたのかもしれない。
「王子……だからこそ、強大な魔物達に立ち向かうんですよ。次期国王である貴方が先頭に立って、魔物達に怯まずに勇気を持って戦うんです。そして……民達にその姿を見せることこそが、今のイシュマリアには必要な事なんですよ。人々はその姿に勇気づけられ、心を動かされるんです。そうなった暁には、貴方という希望の元に沢山の人々が集う事になるでしょう。そして、貴方は英雄と民達から称えられ、彼等を導いてゆくのです。その時こそが……真のイシュマリア国が始まるのだと思います」  
 アヴェル王子は顔を俯かせ、力なく答えた。
「貴方の言う通りかもしれない。だが、貴方は……あの時言っていた。今の俺達ではアシュレイアはおろか、あの時現れた魔物達にも太刀打ちできないと……。この先、我々に勝てる要素はあるのです
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ