Lv66 王子の決意
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悲しげな表情を王子に向ける。
「アヴェルよ……この際だから言っておこう。私はもう、この先長くはないかもしれぬ……だからお主にそれを問うておるのだ……ゴホッ、ゴホッ……後継者たるお主に……ゴホッゴホッ」
「え……それはどういう……」
そこで陛下はヴァロムさんに視線を向けた。
「すまぬが……ラー殿を出してくれぬか?」
ヴァロムさんは無言で頷き、懐からラーの鏡を取り出した。
「ラー殿……ゴホッ、ゴホッ……彼等にも説明してもらえるであろうか……」
「わかった。では話すとしよう」
ラーのオッサンは淡々と説明を始めた。
「この者の魂と身体は今、魔の世界の瘴気で蝕まれている状態だ。このまま放っておけば、近い将来、命の灯は消える事になるだろう」
アヴェル王子はそれを聞くや否や、勢いよく立ち上がった。
【な、なんだってッ!?】
オッサンは続ける。
「だが、それで終わりではない。その屍は魔物として、あてもなく彷徨い続ける事になるのだ。それが、魔の瘴気に深く蝕まれてしまった者の末路……」
「う、嘘だ……そんな……そんな馬鹿な事……」
だが、オッサンは容赦なく言い放つ。
「いや、これは本当の話だ。我は遥か昔に、そうなった者達を沢山見てきたのでな」
アヴェル王子は崩れ落ちるかのように、力なく床に膝を付き、四つん這いになった。
「な、なぜ……そんな事に……」
「この者を意のままに操る為、魔物達が邪悪な呪いを施したからだ。それだけではない。呪いは魔物達の制御を離れ、暴走しつつある。このままではそう遠くない未来、我の言った通りになるだろう」
「そ、そんな……」
アヴェル王子は息を飲み、黙り込んでしまった。
室内に重い空気が、また漂い始める。
(ええっと、これはつまり……魔の瘴気に蝕まれたモノの末路はアンデッドになってしまうって事なのか……最悪じゃないか……以前見た、アメリカのゾンビ映画を彷彿とさせる話だ……ン?)
ふとそんな事を考えていると、アズラムド陛下は身体を起こし、俺に視線を向けた。
「コータロー殿……ラー殿とヴァロムから、貴殿の話を聞いた。此度の動乱……貴殿の類まれなる知略と慧眼により、我がイシュマリアは魔物達の魔の手から逃れる事ができたと……。そんな貴殿に訊きたいのだ。我等がすべき事とはなんであろうか……我等がすべき……事とは……ゴホッゴホッゴホッ」
陛下はそこで胸を押さえ、苦しそうに咳き込み始めた。
ヴァロムさんは慌てて傍に行き、陛下の背中を撫で、介抱した。
「陛下、あまり御無理なさらずに……」
「すまぬ、ヴァロムよ……少し興奮しすぎたようだ。して……どうであろう、コータロー殿。貴殿の考えを聞かせてくれぬだろうか」
「コータローよ……陛下の問いに答えてくれぬか」
ヴァロムさんはそう言
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