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【完結】猫娘と化した緑谷出久
猫娘と神野区異変編
NO.090 供給過多
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君……)」

それでオールマイトは沈黙してしまった。
オール・フォー・ワンはそれでとうとう諦めたと感じたのか出久に「さぁ……」と指示を下す。
オールマイトの方を見ていた出久はそれで視線を戻してオール・フォー・ワンの体の傷の治療を開始するかのように淡い光が漏れだしてきた。
その変化はすぐに起こった。

「おお、おおおおお!! 体に力が戻ってくるのを感じるよ!! これだ、これを僕は求めていた!!」
「…………」

オール・フォー・ワンはそれで歓喜の声を上げ始める。
それに対して出久は無言で治療を続けていく。

「もっとだ、もっと僕に生命力の力を……」

オールマイトによって抉られた顔面の傷はまだ治らずとも力が戻ってくるのを感じていたオール・フォー・ワンはまるで酔っているかのように「もっと、もっとだ」と言葉を繰り返す。
そしてもう内面的な治療は終えているかもしれないところで、静かに顔を俯かせている出久の口が動いた。

「オール・フォー・ワン……」
「ん? なんだい? まだ終わらないのかい?」
「一つ聞きたいことがあるの……。()に与えてくれた『許容量(キャパ)限界を無くす』という個性の代わりになるだろう個性は会得しているの……?」
「ん……? いや、会得してはいないが……それよりも、君はもしかして緑谷さんではなく―――……」

それを聞けたのがよほど嬉しかったのか、洗脳されているはずだというのに次第に出久の口元がまるで三日月のように笑みを浮かべている事に、そこで初めてオール・フォー・ワンは何かの見落としと過ちに気づく。

「それじゃー……オール・フォー・ワン。ここで果てて!!」

俯かせていた顔を盛大に上げた出久の……いや、出久(フォウ)の瞳は爛々と金色に輝いていた。
そう、あくまでオール・フォー・ワンが洗脳を掛けたのは出久の方であって、フォウには一切個性の使用をしていなかったのだ。
そこから導き出される答えは、もう簡単だ。
怪異・猫又はついに憎っくきオール・フォー・ワンに牙を向いた。
ただの個性ならオール・フォー・ワンには敵わないだろう。
だが、今フォウには『与える』という個性がある。
『生命力を奪う』個性は出久との約束もあり、使うことはないが、逆に『与える』事なら無限とはいかずともできる。
そして、人一人の許容量(キャパ)に限界がない出久(フォウ)とは違い、オール・フォー・ワンにはその制限がある。
今の今までその質問をする機会を殺意の爪を研ぎながらも我慢して窺っていたのだ。
その結果が今から行われようとしていた。
すぐに逃げようとしたオール・フォー・ワンだったが、ピッタリと密着していた出久(フォウ)から逃れる事叶わず、出久(フォウ)から人の限界を超えた生命力……約100
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