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3章 穏やかな日々
28話 決闘の行方
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りようは異常だと、リアはつくづく思う。先ほどまで死人のような顔をしていた人間だとは思えない。

 そして、キリトもキリトである。

「なんだ、随分元気そうじゃん。青い顔して震えてるのかと思ってた」
「右に同じく」


「ぐっ…ひどいな二人とも」

 
 そういって3人は笑いを漏らした。


「アスナもどっきどきだね?」
「な、何が!?」


 アスナはリアの意味ありげな笑みの意味を即座に理解したために、動揺の声を漏らす。リアはポン、とアスナの背に手を置くと、その体の向きを変えさせ、4人で一つの輪を作るような形にさせる。


 始まりの時間はすぐそばまで迫ってきていた。満席だろう観客席からは、唸るような歓声が4人の耳に容易く入ってくる。期待値は最高値を記録していることだろう。



「キリト、私からいうことは何もないけど、その二刀流にふさわしい戦いを期待してるよ」
「今あるベストを尽くしてこい。…お前ならいけるさ」
「団長の技は未知数だから、危ないと思ったらすぐリザインするのよ。…頑張ってきて」


 3人の激励に、キリトはいつものニヤリとした笑みを浮かべた。

「勝ってきてやるぜ」


 キリトはそういって、こぶしを突き出す。リア、ツカサ、アスナの三人は、その拳に自らのこぶしをこつん、とぶつけた。



 キリトはコートを翻し、今や雷が鳴り響くかのような歓声と、試合開始のアナウンスが流れる闘技場へと、ゆっくりと歩み始めた。

 
 逆光でさらに黒くなるコート。背負われた、交差する二振りの剣。その姿は、まるで悪役を倒しに行く勇者のようで、リアは思わず目を細めていた。



―?―?―?―?―?―?―?―?―?―




 デュエル設定をしたのち、キリトとヒースクリフは剣を抜き放ち構える。キリトはいつものように、剣先を地面すれすれまで垂らし、ヒースクリフは半身になって、中段の位置で剣を止める。表情は見えないが、キリトの背中からは、触れれば切れてしまいそうなほどの緊張感が伝わってくる。それは恐らくヒースクリフも同じだろう。騒ぎ続けている観客席とフィールド内は、完全な膜で仕切られているように錯覚するほどの温度差がある。



 緊張感が最高潮に達した瞬間、キリトがヒースクリフめがけて地を蹴り、滑るように距離を一瞬にして詰める。


 キリトの剣がライトエフェクトを纏い、放たれたのは、二刀流突撃技、“ダブルサーキュラー”。筋力値よりだというのに、恐ろしい速度だ。だが、もちろんヒースクリフがこんな小手先の技を喰らうはずもなく。それは巨大な十字盾に迎撃され、キリトの剣ははじかれる。キリトはその勢いでヒースクリフと間をとった。

 だが、お返しとばかりに、
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