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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン3 蕾の中のHERO
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ができる。アタシが選ぶのはこのカード、不知火の陰者(かげもの)だ」
「不知火の陰者を……?」
「ほう?糸巻の、随分と強気だね」
「爺さん、余計なアドバイスは抜きで頼むよ。魔法カード、命削りの宝札を発動。このターンの特殊召喚と相手に与えるダメージを犠牲に、一時的に手札を3枚となるようカードを引くことができる。アタシの手札は1枚だから、追加で2枚をドロー……またカードを2枚伏せてエンドフェイズ、命削りの宝札のデメリットで手札をすべて捨てる」

 何かを感じたのか、反射的にデュエルディスクを操作してたった今墓地に送られた1枚のカードを糸巻の墓地から確かめる八卦。その表情がこわばり、あっと小さく息をのんだ。

「妖刀−不知火……!」
「伏せは4枚、しかも墓地にはいきなり妖刀かい。ひひひっ、随分大人げないじゃないか」

 非難するというよりはからかうような七宝寺に、ただ獰猛な笑顔をもって応える。彼女に大人げがあったことは35年もの人生1度たりともなく、長い付き合いのある七宝寺はそれを承知したうえでこの姪に彼女をけしかけた。ならば、遠慮する道理は欠片もない。それが彼女の持論であり、哲学でもあった。

「わ、私のターン!」

 干支がひとまわり以上年上の女が平気な顔して初手から敷いてきた手加減などまるで感じられない布陣に緊張感をにじませながらも、恐る恐るカードを引く。

「魔法カード、E−エマージェンシーコールを発動!デッキからE−HERO(エレメンタルヒーロー)モンスター1体、エアーマンを手札に加えます!」
「ほう、HEROか」
「ひひっ、さて、どうかな?」

 初手に繰り出したのは、カテゴリ対応のサーチカード。サーチ先もよほど捻った構築にでもしないかぎりまずデッキの核となるであろうエアーマンと、おおむね無難な立ち上がりである。
 さすがにこれだけではまだ、評価もデッキの方向も見えてこない。沈黙のうちに見つめる糸巻の視線を感じながらも、たった今見せつけたカードをデュエルディスクに出した。

「エアーマンを召喚し、効果を発動!デッキからさらにもう1体、HEROをサーチすることができます。私が選ぶのはこのカード、シャドー・ミストです!」

 E・HERO エアーマン 攻1800

 巨大な扇風機のような翼を背負う風のヒーローが、糸巻の牛頭鬼と対峙する。サーチ先は同じくHEROデッキならば大概の型には投入されるであろう万能下級モンスター、シャドー・ミスト。

「ここは、押してまいります!迷ったときは前を向け、です!魔法カード、融合を発動!手札のE・HERO、シャドー・ミストと同じく手札の地属性モンスター、薔薇恋人(バラ・ラヴァー)を墓地に送り、2体で融合召喚を行います!」
「薔薇恋人……?」

 ぴくりと糸
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