ターン3 蕾の中のHERO
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ンバイフェイズまで表側表示で除外する」
「私のエアーマン……」
この少女に限りそんな卑怯な技は使わないだろうとは思ったが、一応習性として体に染みついた動きで相手の除外ゾーンを確認する。エアーマン、ロードポイズン、アブソルートZero……そして、2体目のエアーマン。
「魔法カード、一時休戦を発動!このカードの発動時に私たちはカードを1枚ドローし、次の糸巻さんのターンが終わるまでお互いにダメージは与えられません!」
「チッ……外したか?」
1枚のハンデスも空しく希望を残す形となり、やや不満げに唸る。一方で1ターンの安全を確保したことであからさまにほっとした様子をにじませながらカードを引いた八卦だったが、何かそのカードを使用するわけでもなくターンを終えた。
「モンスターは出しません。これでターンエンドです!」
「いいだろう、ドロー。このスタンバイフェイズ、アタシのΩとアンタのエアーマンはそれぞれの居場所に戻る」
再び0と1のノイズが空間に走り、サイキックの戦士が帰還する。この時に最初に特殊召喚した場所とは別のモンスターゾーンを選択することで、マーカー先を1つ空いた状態にするのは忘れない。大量展開における常套テクニックである。
「……とは言ったものの、どうせ何もできないんじゃねえ。ヴァンパイア・サッカーの効果を使い、八卦ちゃんの墓地からオフリス・スコーピオを守備表示で強制的に蘇生させる。そしてアンデット族モンスターが墓地から特殊召喚されたことで、このターンも1枚ドロー」
ヴァンパイアの少女が地面に向けて手を差し伸べると、半ば腐って枯れかけたオフリス・スコーピオの死骸が小さな穴をあけて生えてくる。ピクリとも動かないその姿を前に、ご満悦そうにくすくすと小さく笑った。
捕食植物オフリス・スコーピオ 守800 植物族→アンデット族
「これでアタシの手札は4枚。バトルフェイズ、ヴァンパイア・サッカーでオフリス・スコーピオを攻撃」
ヴァンパイア・サッカー 攻1600→捕食植物オフリス・スコーピオ 守800(破壊)
「これで……」
とりあえずモンスターを一掃してメインフェイズに移行しようとした、ほんの1瞬。その隙を、少女は決して見逃さなかった。
「この瞬間、私のフィールドにカードは存在しません。よって手札からトラップ発動、拮抗勝負!」
「何いっ!?」
「取ったか、九々乃っ!」
この試合で初めて糸巻の、そして七宝寺の余裕が崩れた。これまでどうにか保ってきた、余裕ぶった大人の態度をかなぐり捨て、罠にかかった獣めいた唸り声を喉の奥から漏らす赤髪の夜叉とは対照的に、老人はその姪が放った大逆転の一手に対し歓喜に目を光らせる。
この局面で一時休戦を、そして拮抗勝負を引き当てる。
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