青天の霹靂だね士郎くん!
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もなく士郎に訊ねた。
「なんで止めた?」
「ああ、なに。なんてことはない。セイバーが何やら狙ってるのが分かったんでな」
言って、士郎は態とらしいまでにはっきりとセイバーに問いかけた。
「セイバー。お前、鞘を持っているな?」
「――」
今度こそ、完全に驚愕したセイバー。
その反応に士郎は頷く。しまった、と。慮外に過ぎる指摘に迂闊な反応を示したセイバーは歯を噛み締める。
「なるほどな。ランサーの宝具を誘発し、それを鞘で防いでその隙に一撃を叩き込む算段か」
「――貴方は」
冷や汗を流し、セイバーは思わず問いを投げた。
「貴方は何者です。私の真名のみならず、どうして宝具まで……」
「さて。それを明かす義理は――あるが、今は無視させて貰う。それより回復しないのか? どうせ出来るんだろう」
「……」
セイバーは無言で、それまでに負った全ての傷を治癒した。
アイリスフィールの魔術ではない。担い手を不死にするという宝具『全て遠き理想郷』の効果だ。
不死をも殺すゲイ・ボルクなら、心臓に刺されば即死させられるだろう。しかしそれ以外の傷は、治癒を阻害させる呪いをも無視するに違いない。
士郎は嘆息した。
「……これまでだ。一旦退くぞランサー。鞘を持つセイバーを仕留めきるのは無理だ。仕切り直して戦略を変える」
「……了解だ。だがいいのかマスター。お前さんならオレがセイバーを抑えてる間にマスターを殺れんだろ」
「!!」
アイリスフィールがびくりと緊張する。
しかし、士郎は再度嘆息した。
特異点化の理由がなんとなくだが分かった。
アインツベルンが、この聖杯戦争を制する可能性が高いからだ。
凛がマスターの時より高いだろうステータスに、宝具が連発できる魔力供給量。加えて鞘。これなら正攻法だけで英雄王にも勝ちを狙えるし、未来予知じみた直感と勝負強さを持つセイバーなら充分勝てる。
が、その結果は『この世全ての悪』の誕生だ。本来の歴史とは致命的に離れすぎて、変異特異点と化すのも分からない話ではない。
「殺れる。が、殺るだけが戦争じゃない。今は機ではなかった、それだけだ。いくぞランサー。不満があれば聞くが」
「不満はねぇ。マスターの指示に従う。頭の出来はマスターのが上だしな」
「待て!」
見切りをつけるやさっさと踵を返した二人にセイバーが制止をかけた。
「逃げるのか!」
「いや? 『態度を変える』のさ。また後日、改めて窺わせて貰う」
ああ、と士郎は皮肉げにランサーを見る。そして気取った口調で言った。
「『追ってくるのなら構わんぞ。だがその時は、決死の覚悟を抱いてこい』」
「は――」
ははは
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