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人理を守れ、エミヤさん!
運命的だね士郎くん!
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いて敵を釣ろうとしていたんだろう? なら俺達も今夜はそれに肖ろう。マスターが正統派な魔術師だったし、敵が釣れたら戦う場として人気のない場所を選定するだろうな」

 言いつつ、ざっと脳裏に地図を走らせ、現在地と正統派の魔術師の思考を投影し考える。
 戦いの場として選ぶとしたら……やはり、倉庫街辺りが無難か。

「という訳で、ランサー。敵が釣れるか試してみよう。釣れたら今は亡きランサー陣営の遺志を継いで戦わんでもない」
「了解。で、どこまでやる気概だ?」
「マスターにサーヴァント、全て消えて貰う」

 ついでに間桐も。

「不穏分子には退場願って、穏当に聖杯を回収するか破壊する。まあ、破壊の方が確実だろうが」
「血気盛んなのはいいが、いいのかマスター。テメェの親父がいるんだろ?」

 クー・フーリンの念押しに鼻を鳴らした。
 衛宮切嗣。確かにいるだろう。
 だが、だからこそだ。

「だからこそ手は抜けないな。本気でやる。切嗣相手に半端は出来ない。隙を見せたらやられるのはこっちだぞ」

 しち面倒くさい策謀を巡らせ、転ぶのは勘弁だ。
 シンプルに片付ける。単純な戦略と基本的な戦術で。無理に奇をてらう必要はないのだ、奇策に頼ると隙を見せかねない。手堅く堅実に、されど大胆不敵に王道で勝つ。
 切嗣や俺の弱点は、正当に強い正統な英雄であり、如何なる小細工も意に介さない強者だ。切嗣なら、理性ありのヘラクレス並みのクー・フーリンを見れば、必ず正攻法は避ける。奇策に転じるだろう。それが隙となる。

 切嗣は見つけ次第消す。誰よりもその能力と実力を知るが故に、確実にだ。

「――っと、何か釣れたぜ。真っ直ぐついて来やがる」

 クー・フーリンが敵の気配を察知する。俺は肩を竦めた。

「今夜で二騎脱落か。急ぎ足の戦争になりそうだな」
「おいおい、皮算用はやめとけよ。そんな上手く行くもんでもねぇだろ」
「上手く行かせるのさ。俺達にはそれが出来るはずだ。だろう、ランサー」
「は。おだてるのが巧いこって。分かった、やってやるよ、仕事は完璧にこなす主義だ」

 軽いノリで戦える相方というのは得難いものだ。マシュは真面目にやらんといかんし、アルトリア達はその騎士道に気を付けている。
 自然体で一番やれるのが、切嗣とランサーのようだ。俺としてはやりやすくて本当に助かる。

 敵の気配を俺も感じた。令呪に反応がある。マスターだろう。
 着いてきているから、場所を移すことを察しているのだ。

 さて、誰が釣れる?

 キャスターは有り得ないとして、アサシンも同じ。ライダー、セイバー辺りが食いついてきたのだろう。
 そうあたりをつけ、倉庫街でランサー共々待ち構えていると――彼女(・・)らは姿を表した。


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