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提督はBarにいる。
やっぱ冬は鍋でしょ!・その3
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。ニンニクは芽を取り除いてスライス。厚揚げとこんにゃくには熱湯をかけて灰汁抜き(厚揚げは油抜きだな)をして、食べやすい大きさにちぎるなり切っておいてくれ。

 さぁ、鍋を仕上げていくぞ。鍋にごま油を引いて中火にかける。ニンニクを入れて炒めて香りが立ってきたら、モモ肉、砂肝、豚バラを入れて白くなるまで炒める。肉の色が変わったら塩コショウで味付けをして、一旦取り出す。

 肉を取り出したら野菜、厚揚げ、こんにゃくを入れて全体を大きく混ぜて肉から出た水分と馴染ませる。馴染んだ所で取り出しておいた肉を野菜の上に広げ、酒を全体に回し掛けて蓋をし、蒸し煮にする。これが美酒鍋の最大の特徴で、水は使わず酒と具材の水分とで蒸し煮にしていくんだ。酒は水に比べて揮発性が高いから、蓋を忘れずに。それと、煮込んでいる間もちょいちょいチェックして水分が足りなさそうなら酒を注ぎ足す。

「お酒で煮込むなんてちょっと豪勢ですね」

「まぁ、見た目にはな。別に高い酒を使う必要はないし、最悪料理酒でいいからその辺は上手く調整できるだろ」

「でもさぁ、何でこれ美酒鍋って書いて“びしょなべ”って読むの?」

「諸説あるらしいが……元々はすき焼き鍋みたいな鉄板とかで焼きながら作ってたらしい。そこに具材がびしょびしょになる様に酒を注ぎ足しながら作ってたからびしょ鍋、らしい」

「まさかのダジャレ!?」

「んな事言われてもなぁ」

 俺は地元の人間じゃねぇから、詳しくは知らんさ。……おっと、野菜にも火が通ったな。仕上げに粗挽き黒胡椒を散らしてやれば完成だ。

「ほいお待っとうさん、『美酒鍋』な。そのまま食っても良いが、すき焼きみてぇに溶き卵に付けて食っても美味いぞ」

「「「じゃあ卵ください」」」

「だよなぁ、そう来るよなぁ」

 取り分ける器に卵を入れて手渡してやる。卵を溶いて、鍋をつついて食べたい具材をつまみ上げ、溶き卵に潜らせて頬張る。すき焼きって日本人大好きだよな、ホント。

「ん、美味っ!」

「すき焼きの甘辛醤油味とは違うけど……これはこれでアリだね!」

「黒胡椒のピリッとくるアクセントがまた良いですね」

 味のイメージとしては、タンメンが近いかな。肉の旨味を野菜がたっぷりと吸っていて、それをシンプルな塩味が引き立てつつ、胡椒がそこにアクセントを加える。それを卵と絡ませれば……後は自作して試してみてくれ。
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