特異点冬木「Fate/zero」
アバンタイトルだよ士郎くん!
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い。
スカイ島。
聖杯の力により、現世より切り離されなかった『影の国』。『影の国の女王』との死闘を。
――全工程 完了
――グランドオーダー 実証を 開始 します
レイシフトした直後の感覚は、中々に味わい深い。
例えるならジェットコースターとくるくる回る遊園地のカップを足して二で割らなかった感じの物に乗せられ、上下左右均等にシェイクされたような心地になれるのだ。なので素晴らしく素敵な気分である。
尤もそれは俺だけらしい。霊体であるクー・フーリンはけろりとしているし、マシュはもっとソフトな感じ方だという。ロマニに至っては何も感じないと来た。
しかしそんな酷い感覚も数回繰り返せばすっかり慣れたもので、俺は込み上げる吐瀉物を堪えつつ思う。
――燃えてない冬木とか珍しい……。
素直な感想がそれな辺り、俺はもう色んなものに毒され過ぎたのかもしれない。
「これが、本当の冬木の街なんですね」
白衣を着込み眼鏡を掛けた姿のマシュが感慨深げに呟く。その純粋な反応が眩しかった。
彼女は特異点Fの燃え盛る炎に呑まれた光景しか知らない。故に真新しさ、新鮮さを感じるのだろう。彼女の出自的に近代国家の町並みはこれまでと同じくデータでしか知らなかったのだろうし、無理もないと思う。
しかし俺にとっては違った。本来知る冬木よりもやや古い空気を感じる。そういえば最近、里帰りしてないが、桜はどうしただろう。
冬木の聖杯戦争の難易度的に、間桐を潰すついでに様子を見てみようか。蟲の翁のために用意しておいた礼装が効果あるか、投影品で試験を行える絶好の好機ではあるまいか。
――考慮の余地ありだな。
聖杯の解体に際して当然仕掛けてくるだろう誤算家、もとい御三家に対するカウンター的な措置も練ることが出来る。
ロード=エルメロイ二世と凛は事を荒立てたくないだろうが、聖杯を解体しようとして穏便に事が済むなど有り得ないと俺は断言していた。間桐の亡霊は必ず抵抗するし、そのために英霊の力を利用しようとするのは自明。第六次聖杯戦争が起こる可能性は極めて高く、そこに桜が巻き込まれるのは明らかで、それをどうにかしてやるのが……慎二を死なせた償いだ。
夜は更けている。
人の気配は少ないが、まあ、街から文明の薫りがするのはいいことだ。あの文明破壊王には見せられない町並みである。
「……」
ロマニが難しい表情をして黙り込んでいる。
どうしたのだろう。もしや、彼のスキルである啓示が発動したのか?
「ロマニ、何か気になることでも?」
「――いや、なにも。ただ強いて言うと、こんな街中で聖杯戦争をするなんてイカれ
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