特異点冬木「Fate/zero」
アバンタイトルだよ士郎くん!
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いた」
「遅くはないだろう。時間通りだ。それよりアッ君」
「アッ君!?」
まさかの呼び名に驚愕する鉄のアグラヴェイン。そんな彼に、士郎は小声で告げた。
「ネロを頼む。俺達は兎も角、本来の時代から離れたばかりのネロの内面は、些か本調子とは言い難いだろう。サポートしてやってくれ」
「……言われずともそのつもりだ。マスター、そう言う貴様に支援は不要なのか」
「ああ。恐らくな。注意すべきサーヴァントが誰か、最初から分かっているならやりようはある。最低限の支援で充分だ」
「そうか。……それと、アッ君はやめろ。……頭が痛くなる」
本当に頭が痛そうなアグラヴェインだが、俺は思う。
誤解は解けた。解けたが、いきなり殴られた恨みは忘れてない。故にアッ君呼びはずっと続けるつもりだった。
ネロの肩を叩いて、俺は一つ頷くと自らのチームの下へ向かう。
クー・フーリン、マシュ、そして白衣姿のままのロマニ。正直、その戦力比からして、余程下手に立ち回らない限りは負ける気がしない。
なるべく早く、特異点を崩し、人理定礎を修復してネロを助けにいく。そういう気概で俺は挑む。
「……行ったか」
ネロはレイシフトした士郎らを見送り、ぽつりと呟く。
その呟きを聞き拾ったアタランテが言った。
「不安か、マスター。汝らしくもない、常の不敵な笑みはどうした」
「笑み、笑みか……こう、であろう?」
浮かべた強い笑みには空虚がある。
士郎の前では気丈であったのは、彼女の意地だ。友人に、対等な友へ弱く見られたくないという。
ふ、と笑みを消し、ネロは自嘲した。
「……笑ってくれてもよいぞ、麗しのアタランテ。余は、他に選択肢がなかったとはいえ、自らの国を、世界を捨てたのだ。それをカルデアで過ごす内に改めて実感してな、少し……寂しいのだ」
「そうか。だが、私は国というものに執着心はない。私からは何も言えはしないだろう」
「……」
「しかしサーヴァントとしてなら言える。マスター、今は前を向け。これより先は死地と心得ねば、汝は命を落とすだろう」
「……うむ。忠言、確かに受け取ったぞ」
アグラヴェインはそれを見て、先程の士郎の言葉が的を射ていたことを理解する。
人の内面を汲み取るのが上手い。そして、人を使うのも。かつてのブリテンで圧倒的に不足していた人的潤滑油。このマスターがブリテンにいたら、結末は違っていただろう、とらしくもない慨嘆を懐き掛け。
鉄のアグラヴェインは、鉄の自制心によりその益体のない思考を捨て去った。
そして、ネロもまた特異点へと赴く。
全てが不明瞭な、『特異点アンノウン』へ。
彼女はまだ、熾烈なる戦いを予感していな
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