槍の主従の憩い
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りゃあ戦闘を生業にしてねぇサーヴァントは安定して翻弄出来るだろうよ」
「……俺が? アーチャーの奴の足元の影ぐらいにしか及んでないのにか」
予想以上の高評価に嬉しさ半分、疑い半分。
俺の微妙な反応にクー・フーリンは鼻を鳴らす。
「アーチャーとマスターを比べたら、確かに一枚も二枚もあの野郎のが上手だ。だが過小評価はするもんじゃねえぜ? アイツは確かにステータスだけなら雑魚も雑魚、良くて並み程度だが――アーチャーは本物の戦上手だ。どんな格上が相手でも、一定の戦果は安定して出せる一種のジャイアントキリングだぜ。性能なんざ論じるだけ無駄、マスターがアーチャーを見習うべきはその戦闘論理だ」
「……そうだな。確かにそうだ」
「オレはアイツとは腐れ縁でね。ある程度の真似事は出来る。肌にゃ合わんが、明日出向く戦場で少し見せてやるよ。オレ並みのステータスを持ってる奴がアーチャーみたいな戦法を使った時の嫌らしさをな」
「いいのか?」
「応。誇りの欠片もない槍なんざ振るいたくもねぇが、マスターの参考になるんなら一回だけやってやるよ」
オレは主には尽くすサーヴァントなんだぜ、と。クー・フーリンはにやりと笑み、俺も微苦笑して感謝する。
確かにトップサーヴァントがエミヤのものに近い戦法を取ったらどうなるか興味はあった。もし敵方で遭遇したら、どう対処すべきかも見えるかもしれない。少なくと初見殺しにはならないのだから、是非やって貰うべきだろう。
ふと思い出したようにクー・フーリンは言った。食堂に到着し、厨房に入った俺に向けて。
「――そういやさっきの冠位云々だけどよ」
「ん?」
「もし敵方に出たら気を付けるべき奴を、槍兵の視点で進言しとく」
「ランサーの視点となると、ランサーと同じ槍兵の冠位持ちってことか?」
「当てずっぽうだけどな」
言いつつ、クー・フーリンはどっかと椅子に腰掛け虚空に視線を這わせる。
「ケルトにゃオレ以外冠位はいねえ。それは間違いないな」
「ランサーの師匠は?」
「ありゃ駄目だ。腕はあっても魂が腐ってる。そもそも人理焼却中の今はサーヴァントになれるだろうが、オレの時代から二千年以上経ってるんだぜ? 取り返しがつかねえぐらい腐ってるのは間違いない。第一、オレのが強ぇ」
「へえ」
「敵にはしたくねえけどな。生前のオレか、それに近い状態のオレなら、師匠がどれだけ腕を上げてても後れは取らねぇ。素でオレが強えし互いに変身してもオレのが上だ。だから師匠に冠位は無ぇ」
オレのガキが長生きしてたらオレ以上になってたろうが……と、彼らしくない独白を溢す。
それは聞かなかったことにして俺は頷いた。
ケルトは少なくともクー・フーリン以外に槍兵の冠位持ちはいない。確かにフィン・マックールもデ
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