69部分:第六話 暴かれた時その十三
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第六話 暴かれた時その十三
「それでどうやってわかるんだよ」
「そうよね」
文月は長月のその言葉に頷きはした。だがその顔は不安に満ちていた。
「誰も見てないし」
「あいつも何も言わないし」
霜月は自分達がいじめた相手について言及した。
「それでばれる筈ないよね」
「口止めする?」
如月はふと言った。
「あいつに」
「椎葉にか?」
「うん、後はあいつが黙ってれば絶対にばれないじゃない」
だからだというのだった。
「だからね。どうかしら」
「そうよね。そうする?」
霜月が最初に如月のその提案に頷いた。
「あいつさえ黙っていればね。いいから」
「じゃあそうするか」
長月も霜月に続いた。
「ここは」
「うん、それじゃあね」
最後に文月だった。
「あいつを黙らせてね」
「よし、そうしよう」
また話す如月だった。こうして四人は神無のところまで来てそれで言おうとした。
「ねえ椎葉」
「いいか?」
不安と狼狽に満ちたその顔にはいじめていた時の高圧なものは何もなかった。立場はもう完全に変わっていた。少なくともいじめる人間のものではなかった。
「あのことだけれど」
「ああ、椎葉さん」
しかしだった。ここでまた岩清水が出て来た。まるで見計らった様なタイミングだった。
「いいかな」
「はい?」
「ちょっとこっちに来て」
「こっちって?」
「聞きたいことがあるから」
こう言って神無のところに来て四人を寄せ付けないのだった。
「来て欲しいんだけれど」
「そうなの」
「うん、だからこっちに来て」
また言う岩清水だった。
「いいかな」
「わかったわ。それじゃあ」
こうしてだった。神無を四人から引き離して何も言わせなかった。口止めすることができなかった四人はこれでさらに不安と狼狽を高めさせることになった。
「どうしよう・・・・・・」
「話せなかったけれど」
「どうする?」
四人は屋上に出てそこで話す。空は今は雲に満ちて青いものはなかった。
「次に言う?」
「次の機会を見つけて」
「そうする?」
「そうするしかないよ」
如月が三人に告げた。彼女もそうだが四人共俯いてしまっている。
「やっぱりね」
「黙らせないと駄目だよね」
文月も俯いたまま言う。
「何とかして」
「捕まえよう、何とかして」
霜月が一番狼狽していた。不安で不安で仕方ないといった顔である。
「それで口止めしないと」
「ああ、あいつが喋ったらうち等終わりだよ」
長月もこれまでの粗暴な強気さはなくなっていた。ただひたすら狼狽してそのうえで仲間達に対して言ってそれがさらに不安を高めさせていた。
「だからな。ここはな」
「椎葉捕まえよう」
また言う如月だった。
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