急転直下のカルデア事情
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れない。第一級警戒体制で当たれ」
「はい!」と職員らは駆け出していった。すぐにそれから目を逸らし、必ずここに居合わせたであろう存在に指示を飛ばす。
「ハサン、職員の管制室への誘導及びサーヴァントの招集を任せる。行け」
「御意」影からの応答。カルデアで彼のいない場所はない。一通り指示を行き渡らせ、後はランサーらが集まるまでやることはない――訳ではない。
士郎はサー・アグラヴェインを見る。彼の目に激発した怒気はない。冷徹に事態を分析する。戦乱のブリテンを支えた宰相の瞳でマスターを見据えていた。
彼とのディスカッションは滞りなく進められそうだと判断した士郎はおもむろに言った。
「魔術王召喚からここまで、取り上げられる要素は?」
「我が王の対魔力を貫通する魔術。刹那の間に我らを全て外廊へ追い出し、召喚ルームに立て籠り現状を把握するために動く行動力。カルデアの司令官を一瞥のみで見抜く洞察力。カルデアの司令官を即座に人質に取る咄嗟の機転だ」
「城塞並みの防護を一瞬で構築、いきなりの令呪を無効にする反応の早さまでが魔術王の側から読み取れる情報だ」
「翻るにマスターはミスをしている。如何なる事情があるのか私はまだ知らないが、いきなり声を大にして指示を飛ばしたのは失策だった。加えて、令呪の無駄打ち。これは痛いだろう」
「アグラヴェインに通達しておこう。魔術王は人理焼却の実行者だ」
「――情報源は?」
「第二特異点にて聖杯を握っていたローマ建国王ロムルスだ。信頼の置ける人物だ、情報の確度は高い」
「……なるほど、マスターの過敏な反応の理由は把握した。是が非でも話を聞かねばならないという訳か」
「ああ。そして人理焼却を行うような輩だ。何をされるか分かったもんじゃない。有無を言わさず制圧し拘束するのが正答と判断した」
「正しいな。しかしカルデアに魔術王を無力化出来る者など――」
「いる」
「――なに?」
「いる」
情報は纏まった。
エミヤ、切嗣ともディスカッションは滞りなく行えるが、アグラヴェインの方が頭の回転と認識力、分析力は上だ。
何せ召喚から間を置かず、激怒させられておきながら急な事態にも動じずに応じてのけたのだ。士郎も彼のお蔭で理解が深まった。
士郎の中でアグラヴェインのポジションが決まったのはこの時である。
アグラヴェインの反駁に、士郎は答えず。
そこへ迅速に駆けつけてきたのは、世界の古今を見渡しても間違いなく最強格の英雄である槍兵クー・フーリンだ。
有事となれば体に沈澱していたアルコールを排するなど、サーヴァントには当たり前に出来ることである。戦装束に身を固め、呪いの朱槍と丸盾を手に推参した彼に、士郎は頷いた。
「一人目がこのランサーだ。真名はクー・フーリン。
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