カルデアの救世主
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郎に向き直り簡素な儀礼を交わした時、事は起こった。
「マスター、聞いての通り我が名はアグラヴェイン。騎士王アーサーに仕えし者。不安定な召喚のツケか、クラスのない亡霊のような状態だ。力になれるか分からないが、よろしく頼む」
「そうか。それは別にいい。よく来てくれた。カルデアは貴方の参陣を歓迎する」
茫洋とした眼差しで、士郎は鷹楊に頷いた。
クラスの枠に嵌まっていない、サーヴァントとして完全ではない亡霊としての現界に取り乱す気配は微塵もなかった。アグラヴェインはその泰然とした雰囲気に士郎への心証を上方に設定する。
ただ士郎の頭の中で、化学反応が起こっただけであるとも知らず。
士郎は酒で鈍った頭で思った。――アルトリアは士郎の身内。その身内の身内が召喚された。初対面だから挨拶しないと。そういえばアグラヴェインはアルトリアの活躍を知らない。せっかく共通の知人を持ってるのだからアルトリアを話の出汁に使おう。まずはアルトリアを誉めるところから入るべし。
瞬時に士郎はそこまで考え、アルトリアの肩を抱き寄せた。士郎的には親密さと仲の良さをアピールする以外の意図はなかった。ただ言葉のチョイスが最悪だった。
「――アンタの王様、(戦果的な意味で)最高だったぜ」
「っ?」
「し、シロウ! そ、そんな……(戦果的な意味で)最高だなんて……」
その時、アグラヴェインの脳裏に閃光が走る。
マスターの言葉。王の、本来の性別を感じさせる照れた顔。――いきなりトラウマ地雷を踏み抜かれたアグラヴェインは発作的に激怒した。
そして、そのまま士郎の顔面を殴り飛ばし。吹き飛んだ士郎は多くの機材を巻き込み損傷させる。風の如く駆け、士郎のマウントを取り憎悪の叫びを上げて拳を振り下ろし続けるアグラヴェインにアルトリアは呆気にとられた。
誰か止めろぉ! 酔いが醒めて必死に防ぐ士郎。アグラヴェインが冷静だったら即死確定だっただろう。
そんな士郎のポケットから、ダ・ヴィンチの工房からくすねてきていた呼符が一枚、溢れ落ちる。
士郎の決死の叫びに応えるが如く召喚サークルが再度、起動した。それに気づく者はなく、ダ・ヴィンチらは大慌てで士郎を救出に召喚ルームに駆けてきて、我に返ったアルトリアと共に錯乱するアグラヴェインを取り押さえた。
そして、ロマニが召喚ルームに駆け込んで来て、なんとか場の収拾に努めようとした時である。
丁度、召喚サークルが士郎の呼符に反応して起動した。
瞬間。あっ、と間の抜けた声が溢れ落ちた。
光が満ちる。光が消える。
召喚サークルから進み出てきた人物に、誰よりもカルデアの司令官が驚愕していた。
「――キャスターのサーヴァント。
魔術王ソロモン、召喚に応じ参
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