円卓の衛宮
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衛宮はノータッチである。どうせこれから長いのだ、同じ戦場で戦っている内に、なんやかんやで戦友として付き合うようになれると思っている。
「『熾天覆う七つの円環』は最高の護りだが、その性質上魔力を送り込む事で強度を高める事が出来る。つまり、アイアスは魔術回路と繋がった魔術礼装と同系統の物。切嗣の第二宝具を撃ち込まれたら如何なアーチャーでも無力化してしまう。違うか?」
「……それに加えて、切嗣の気配遮断のランクがかなり高い事もオレは体感した。アイアスを展開した所を狙い撃たれれば結果は同じ。ふん、切嗣を知らなかった以上、オレの敗北は動かなかったか」
忌々しげに舌打ちし、エミヤは問う。
切嗣や自身と同系統の戦闘論理を持つ衛宮、この二人に加えてあの盾の少女、二人の騎士王にローマの第五代皇帝、アルカディアの狩人にあのアイルランドの光の御子。
これだけ揃っていて更に英霊召喚を試みるとはどれほどの事態が起こっているのか。人理の危機は承知しているが、その詳細を知らないエミヤはそれを説明して貰いたかった。
衛宮は、心せよ、そして絶望しろ、とエミヤに言う。特異点Fからの第一特異点の戦闘詳細、第二特異点での顛末を聞くにつれエミヤは顔を険しくし、更に明後日二つの特異点を同時に攻略すると聞かされ頭を抱えた。
「……貴様、よもや善からぬモノに呪われているのではないか?」
エミヤは真剣にその可能性を検討した。いくらなんでも酷すぎる。人理の危機に泣き言など言っていられないが、それにしたって最悪だ。人類滅ぶべしという世界の悪意が聞こえて来そうである。
「人が気にしている事を……。……だが、アーチャーも俺達の窮状はこれで理解してくれたな? 全面的な協力を要請する。アーチャー、あんたの全能力を人類史を救うために貸して貰いたい。頼む」
深々と頭を下げた衛宮を、エミヤは複雑そうな目で見るしかなかった。
最初からこうだ。こちらは何かにつけ邪険にするのに、衛宮は全くエミヤに敵意を向けない。そのせいでどれだけやり辛く感じるか、やはりこの男には解らないのだろう。
意地を張るのもバカらしくなる、まるで一人相撲ではないか。馬鹿馬鹿しくなり、エミヤは嘆息して言った。
「……はあ。やむをえまい、こんな時に私情を交えるほど私も愚かではないのでな。人類史を護るため、貴様に力を貸してやる。有り難く思え」
「ああ。有り難く思う。そして言質取った。早速力貸してくれ」
「……ん?」
サッと頭を上げた衛宮は満面に笑みを浮かべていた。それはもう晴れやかな笑顔である。
咄嗟に反応出来ず、我知らずエミヤは反駁しかけた。
だが、それに先んじて懐から一枚の紙面を取りだし、衛宮はそれを赤い弓兵に押し付けた。
「それ、投
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