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人理を守れ、エミヤさん!
円卓の衛宮
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あると言えた。

「まあ懸念はあるがな。遠距離からの狙撃をそちらが徹底した場合、こちらの執れる行動は二つ。アーチャーを無視して本丸に乗り込むか、狙撃を防ぎながら狙撃手に接近するかだ」
「オレを無視した場合、オレはセイバーと合流しようとしただろう」
「そうするよな、当然。それは非常に面白くない」

 あの時にアーチャーとセイバーを同時に相手にするのは非常にマズかった。
 キャスタークラスのクー・フーリンが後から参戦してくれただろうが、それでも厄介さは変わらない。

「後者の場合、オレは只管に狙撃ポイントを移りながら執拗に盾の少女を狙っていただろう。今の彼女は知らないが、あの時は心に隙が見えた。突くなら徹底したろうさ」
「俺はマシュを激励しつつ、意地でもお前を俺の射程圏に収め、カラドボルグからの壊れた幻想コンボを叩きつけようとするだろう。マシュはあれでガッツがある、苦戦するだろうが俺の射程距離にお前を捕まえる所までは行けたはずだ」
「? ……まあ、そうだな。射撃戦で貴様がオレに勝るとは思えんが、交戦開始より7分から14分辺りで貴様の第一射が始まったろう」
「で、カラドボルグを射たれたらそちらはどうしていた?」

 一瞬、エミヤはあの時の状況を脳裏に浮かべ自らの戦闘論理に沿い一つの結論を導き出す。
 カラドボルグは強力だが、連発出来る代物ではない。広範囲を巻き込む壊れた幻想に繋げられると爆発に巻き込まれかねない。故に、ほぼ確実に薄紅の七枚盾を展開した筈だ。そうすれば、投影品の螺旋剣は完璧に遮断される。

「それで詰みだ」

 衛宮がそう言う。なに? とエミヤは問い返した。
 そこで衛宮は、これまでエミヤが出来るだけ視界に映さないようにしていた衛宮切嗣へ解説を促した。

「切嗣、この負けず嫌いに教えてやれ」
「……了解。まあ、これからは味方だ、教えても問題はないか」

 切嗣が懐からナイフを取り出す。
 物の構造を把握することにかけては異能じみた眼力を誇るエミヤである。その異様さを瞬時に察する。
 そしてあの時、自身を仕留めたナイフの存在を思い出し、エミヤはその顔が苦り走るのを抑えられなかった。

「『神秘轢断(ファンタズム・パニッシュメント)』――僕の第二宝具だ。これは僕の起源である『切断』と『結合』が具現化したもの。どんな作用があるかは身を以て思い知っただろう」
「……ああ。まさかアンタにやられるとは思いもしなかったから、よくよく覚えているよ」

 皮肉げに、エミヤは呟いた。
 彼の身の上を知らされたエミヤの驚愕を、絶望と諦念を、理解し得る者はいまい。
 双方共に敢えて親しくする気も、何かを話す気にもなれず、エミヤは切嗣を避け、切嗣もエミヤに関心はない故に関係を改めようとはしていなかった。

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