幕間の物語「いつかどこかの時間軸」3
人理守護戦隊衛宮
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魔するのも悪いから何も言わずにおくのが吉か。フォウ、と呆れた風に嘆息した小動物に、俺はなんとなく苦笑する。
朝食の支度を終えて、僅か10分で二人分の米が炊けたのに『やっぱこの釜欲しい』とカルデア驚異の技術力に感嘆する。小動物には一応サラダを提供してみたが、反応はまあ普通。何事もなくもしゃもしゃと食べている。ドレッシングも避ける様子はない。後プチトマト辺りが気に入ったと見た。
「フォウ!」
「……あ、ああ。すまん」
じー、と食事風景を観察していると、不意に小動物は不満げにこちらを睨んで鳴き声をあげた。まるで『そんなに見られたら食べづらい』と抗議を受けた気分になって、俺はなんとなく謝罪した。
くすくす、とマシュが笑う。気恥ずかしくなり、黙々と朝食を口に運んだ。
長閑な空気の中、食器の音だけが鳴る。やがてマシュやフォウ共々綺麗に平らげると、ごちそうさまの挨拶を置いて、俺は食器を纏めると台所に移動した。
「そういえば先輩は、この後の英霊召喚についてどう思われていますか?」
「ん……どう、とは?」
曖昧な問いに、俺は食器を洗いながら聞き返す。質問の意図が不明瞭だった。
「あの……なんと言いますか。また、アルトリアさんが来ちゃうような気がするんです」
「……」
俺が密かに抱いていた懸念を、そのまま口に出したマシュに一瞬手が止まった。
すぐに動き出し、俺は応じる。
「そうそう同じ奴は来ないだろう。というか、英霊は万といるんだぞ。その中でピンポイントに同じ奴が揃う訳がない。どんな確率だっていうんだ」
「……でも、その、カルデアの英霊召喚システムは緩いと言いますか。正直あり得ないとは言い切れないかな、と」
「……まあ、それはそうだが」
真面目な話、もうアルトリアは勘弁して欲しいというのが本音である。
何もアルトリア顔を邪険にしているのではなく、戦力の種類的に同型が重なるのは好ましい事とは言えないのだ。大火力、大いに結構だが現実的に運用するとなると話は変わってくる。二人のアルトリアだけでもやや持て余し気味なのに、三人目、四人目と嵩張ると俺が一瞬で干上がるのは確定である。
オールマイティーな戦術を採れる低燃費な英霊か、自分で魔力を補える独立型か、はたまた正統な魔術師タイプが来て欲しい。
「まあ何を言ったところで結果が変わる訳でもない。何時の時代の奴が来ても相応の対処はするさ」
「例えばどんなふうにです?」
「ん? 例えば……青髭とかだな。奴は問答無用で退去させる。子供を害するという事は、人の未来を奪っている事に他ならない。そんな輩と肩を並べるのは不可能だ」
「なるほど……」
ジル・ド・レェは救国の英雄である。知名度的に聖女ジャンヌ・ダルクが持ち上げられるが実質的
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