第二章
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断片“を繋ぎ合わせ、即席で兵士を創り上げた魔術。大した力も無いが、数にはなった為に作られた。わしもこの魔術を行使した所を見た事はないのだがな。」
そう言い終えると、マルクアーンは二人にそれを伝えるや、ルークとスランジェは精神を集中させて呪文を詠唱した。
「大地に散りし数多の欠片、天の禁を破りて此処に集い、新たなる肉体と成りて、我が前の壁となれ!」
詠唱を終えるや、四方から肉片が集まり始めた。それは誰もが顔を背けたくなるおぞましい光景であり、それを教えたマルクアーンさえ顔を顰めた。
暫くすると、そこには“人間らしい物”が出来上がった。
確かに人間と言えば人間…なのだが、まるで継ぎ接ぎだらけの人形よろしく、とても人間そのものとは言い難い代物であった。それも些かぎこち無く動いているため、尚のこと気味の悪いものであった。
「…マルクアーン様…。動いている様ですが…。」
「まぁ…そうだな。人の命令が聞ける程には動く筈だ。しかし、中身は空じゃ。」
そう言われはしても、ルークもスランジェも動く“それ”に対し、精神が全く無いとは思えなかった。
それを悟ってか、見ていただけのシュトゥフが“それ”に話しかけてみた。
「お前、話は出来るのか?」
「…は…い…。」
やっと言葉を発している…と言った具合だが、口を開くと顎が取れてしまいそうで、何だか見ていられない…。
「もう良いじゃろう。ほれ、早ぅ精神移転の呪文を。」
「…分かりました。」
二人は否応無しに呪文を詠唱し始めた。それと同時に、マルクアーンは目の前の人間擬きの周囲に陣を書き始めた。
「シヴィル、何をしておるのだ?」
「わしも封印の陣であれば描ける。ま、この妖魔に対しては気休め程度じゃろうがな。」
そう言いながらも、マルクアーンは淡々と陣を描き続けている。
マルクアーンが陣を描き終える頃、二人の魔術師は最終節の詠唱を始めた。
「我が命に従い、汝の精神を彼の型に移すべし!」
呪文の詠唱が終わるや否や、その効力が即座に行使された。座っていたグールの巨体は倒れ伏し、一方では継ぎ接ぎだらけの人間擬きが急速に変化していったのである。
見れば、継ぎ接ぎ部分や欠けた部分が補われていき、まるで傷が癒えて行く様に、それは人そのものとなっていったのであった。そうして最終的には、青みがかった髪を持つ美しい青年となったのである。
「お前達…この私を、どうしようと言うのだい?」
それは不敵な笑みを見せて流暢に話して来たため、四人は面食らってしまった。
「私が言葉を発するのは不満かな?それとも、この美しい躰に何か問題でも?」
「いや、お主は本当に“グール”なのか?」
マルクアーンはどうも腑に落ちず、眉間に皺を寄せてそれに問い掛けた。
すると、それはさも可笑し気に四人へ
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