第二章
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いや、それは否応無しに四人の目に入った…と、言った方が適切であろう。
四人は最初、それを巨大な岩か何かだと思った。だが…近づくと、それは巨人が蹲っているのだと解り、その異様さに驚愕した。
「やはり…グールであったな。しかし…これ程までに巨大に、そして醜悪になるとは…。」
マルクアーンは顔を顰めて言った。
四人の前で山の如く蹲るそれは、正に異質と言えた。この世界にあってはならない…そう思わせるには充分な代物であった。
「こやつ…そうとうの人間を喰ろうてきたな…。」
「人を…喰うのですか…?」
マルクアーンの言葉に慄き、些か躰を震わせながらスランジェがそう問い掛けた。それ程に、目の前のそれを恐ろしいと思えたのだろう。
その問いに、マルクアーンは答えた。
「この“グール”はな、元は人間と下級悪魔を融合させて創られた。しかしどう言う訳か、こいつは食欲ばかりが抜きん出て、それも人間ばかりを骨ごと喰いおった。そして人間を喰うごとに巨大化し、そして念力を使える様になってからからは益々食欲が旺盛になり、そしてまた巨大化していきおった。先の大戦中に私が目にした時は、人間の三倍程であったがな…。」
そう言ってマルクアーンがグールを見上げて見れば、それは優に人の背丈の五倍は越えている。それだけ人間を喰らったことの証であり、醜悪さはその事実を物語っていた。
「しかし…何故動かないのでしょうか?」
不思議そうにルークがマルクアーンに問うと、マルクアーンは腕を組んで返した。
「恐らくだが…この結界が魔力供給を阻害しているのであろうな。今のグールからは魔力を感じ取れんからな。」
そう言うや、マルクアーンは「さて、始めよう。」と言い、予定通りの手筈に取り掛かった。
先ず、ルークとスランジェが器に出来そうな遺体を探したが、それが全く見付からない。街中では至る所に人間の欠片が散乱していたが、ここにはそれさえなかったのである。
四人はどうするか話し合ったが、これでは埒が明かない。
そこで、ルークが一つの案を提示した。
「マルクアーン様。暫く前、ルーファス様が人型に“ミストデモン”を移したと聞きました。同じ様には出来ないものでしょうか?」
その案に、マルクアーンは溜め息混じりに返した。
「あれか…。しかしのぅ…あれはかの妖魔が了承したからこそ出来たのだ。それに、お前たちでは造形魔術を扱えまい?」
その言葉に二人は俯いた。案は良いのだが、ルークとスランジェでは造形魔術を扱えない。そもそも…グールの原型をここにいる四人は知らないのである。
それ故、マルクアーンは再び二人の魔術師へと古の魔術を教えることにした。
「仕方無いのぅ…。これも禁忌の魔術じゃが…。」
そう前置きし、その魔術について語り始めた。
「これは“死体の
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