第二章
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「しかしそれ以上に覇権主義の野心家だ」
「覇権主義で、ですか」
「しかも野心家だというのですか」
「あの方は」
「そうした方ですか」
「だからだ、ポーランドリトアニアの再興もだ」
彼にとっては悲願であるそれもというのだ。
「彼の野心の中でのことだ」
「では再興されてもですね」
「それでもですね」
「それはあの方の野心の中のことで」
「それはやがてはですね」
「我々にとってですね」
「利用されることになりますね」
コシチュシュコの同志達もそれがわかった、彼の言葉によって。
「では、ですね」
「若しあの方にとって都合が悪くなれば」
「その時はですね」
「利用された末に」
「切り捨てられもする、しかも彼の野心は大き過ぎる」
コシチュシュコはこのことも指摘した、彼の野心の大きさもだ。
「欧州の絶対的な覇者となるつもりだ」
「オーストリアもプロイセンもロシアもイギリスも従えた」
「まさに欧州全土の覇者ですか」
「そうなることをお考えですか」
「幾ら優れた英雄でもそれは人が持つには大き過ぎる野心だ」
コシチュシュコはそう見ていた、ナポレオンといえどその野心はあまりにも大き過ぎるものであるとだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「あの方はその野心の大きさ故にですか」
「やがてはですか」
「滅びるだろう、そして彼が滅びれば」
その時はというのだ。
「ポーランドリトアニアはどうなる」
「利用する人物がいれば」
「その時はですね」
「幹が滅びれば枝も滅びます」
「それでは」
「同じだ、私は今でも祖国を再興したいが」
この想いは変わらない、だがそれでもというのだ。
「時ではないということだ」
「しかしです」
「ユゼフ=アントニ=ボニャトフスキ殿はです」
「あの方を支持してです」
「あの方についていこうと言われていますが」
「いい人物だ、優れているだけでなく誠実で誰も裏切らない」
ボニャトフスキはコシチュシュコの友人だ、それだけによく知っていて言えた。
「だがな」
「ボナパルト殿についていくことは」
「危険ですか」
「我が国にとっても」
「そうなのですね」
「残念だが時ではない」
またこう言ったコシチュシュコだった。
「だから今は私は動けない」
「動きたくとも」
「そうなのですか」
「ボニャトフスキにも言っているが」
ナポレオンにつくのはよくない、そうだ。
「しかしな」
「ボニャトフスキ殿も必死で」
「あの方に賭けていて」
「それで、ですか」
「ついていこうとしている、その想いは本物だ」
ボニャトフスキのそれもというのだ。
「私はそれもわかる、だからだ」
「止められませんか」
「どうしても」
「ついていくことは出来ないが」
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