第三章
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普通の影絵のものとは違う人の頭程の大きさの影絵ですが。
その影絵を灯台の灯りにかけるとです、これが。
遠くまで見える灯台の灯りは満月の灯りみたいです、その灯りの中にです。
兎がいます、それを見た三好さんは池辺さんにこう言いました。
「あの、何か」
「うん、お月様みたいだね」
池辺さんもこう言いました。
「本当に」
「そうですよね」
「面白いね」
笑顔で言う池辺さんでした。
「これは」
「そうですね、只の灯台の灯りがです」
「満月みたいになったからね」
「兎のいる」
「それになったからね」
「これはかなり面白いですよ」
三好さんは笑顔で言いました。
「思っていたよりも遥かに」
「じゃあこれからもね」
「はい、灯台の灯りでも影絵をしていきますか」
「そうしよう」
こう言ってでした、二人は色々な影絵を灯台の灯りに出していきました。そうして暇潰しをしていましたが。
その灯りを見てです、船乗りの人達も言いました。
「最近あの灯台面白いな」
「そうだよな」
「只の灯りじゃなくて」
「中に兎がいたり犬がいたり」
「鳥がいたりな」
「蝶々がいたこともあって」
そうした色々なものが灯りの中に出てというのです。
「面白いな」
「影絵だな、あれ」
「ああ、あんな面白い影絵あるんだな」
「こんなこと思いも寄らなかったよ」
「全くだよ」
こうお話します、そしてです。
ある日のことです。小さな可愛らしい女の子が二人のいる灯台のところに来てこんなことを言ってきました。
「あの、明日の夜お父さんが船長をしている船がこの近くを通るんで」
「へえ、そうなんだ」
「君のお父さんがだね」
「はい、明日のお昼にお家を出て」
そうしてというのです。
「夕方に港を出て」
「そしてだね」
「明日の夜ここを通るんだね」
「そうなんです、それで」
女の子は池辺さんと三好さんにさらにお話しました。
「お願いがあるんですが」
「何かな、そのお願いは」
池辺さんが女の子に優しい笑顔で尋ねました。女の子がまだ子供なので気遣って優しい笑顔になったのです。
「一体」
「はい、この灯台は影絵をやっているんですね」
「うん、そうだよ」
その通りとです、池辺さんは三好さんに答えました。
「毎晩ね」
「それじゃあお父さんを見送る為に」
それでというのです。
「影絵を贈りたいんです」
「海に出るお父さんにだね」
「お父さん世界一周の航海に出るんです」
「へえ、世界一周になんだ」
「そうなんです、それで暫く戻って来られないんです」
「お嬢ちゃんにもずっと会えないんだね」
「お母さんと私がお家に残るんです」
女の子は池辺さんだけでなく三好さんにもこのことをお話しました。
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