第三章
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「そんなことはする人じゃなかった」
「真面目だったんだな」
「ああ、凄くな。戦後お寺の復興にも力を注いだり世の中のことも考えていてな」
「そんな人だったんだ」
「何でも真剣に向かい合った人だったらしな」
「そりゃ全然違うな」
白馬もそのことがわかった、それでだった。
枝豆を食べてだ、そうして言った。
「ネットの荒らしとかさっき話したテレビによく出ている面白く尾内連中とは」
「ああ、全然違うからな」
実際にとだ、寿福も答えた。
「そうした連中とは真逆の人だった。あとな」
「あと?」
「大佛次郎ってペンネームだからな」
寿福は白馬にこのことも話した。
「本名は違うからな」
「作家さんでそれ多いよな」
「そうだろ、ペンネームの人多いだろ」
「それ使ってる人はな」
「それで大佛次郎もだったんだ」
この作家もというのだ。
「ペンネームだったんだよ、ただな」
「まだあるのかよ」
「そのペンネームは一つじゃなかったんだよ」
「そうだったのかよ」
「幾つもあった、それこそ幾つもあり過ぎて」
それでとだ、梅酒を飲みつつ言うのだった。
「一つ一つなんてな」
「祖父ちゃんも覚えてないか」
「ちょっとな、十じゃ利かないからな」
「おい、それ多過ぎだろ」
大佛次郎の他のペンネームがそこまで多いと聞いてだ、白馬は思わず言った。
「十じゃ利かないのか。何かな」
「何か。何だ」
「声優さんみたいだな」
こう言うのだった。
「何かな」
「声優さん?」
「声優さんの裏名義ってあってな」
「何だ、その裏名義というのは」
「あれだよ、エロゲとかに出る時はな」
「いやらしいゲームか?」
「それだよ、声優さんはそれに出る時はな」
白馬は寿福にさらに話した。
「全然違う芸名使ってそれがもう幾つもある人いるんだよ」
「そうなのか」
「もうそれが何十もある人いるんだよ」
「そんな人がいるのか」
「そうした声優さんみたいだな」
「変な例えだな、しかしペンネームも芸名も多いとか」
「それだけでネタになるな」
こう言うのだった。
「昔もそんな人がいたんだな」
「そうなるな、しかしな」
「しかし。何だよ」
「御前まだ十八歳じゃないだろ」
寿福は孫を見据えてそうして言うのだった。
「そうだろ」
「あっ、しまった」
ここでだ、白馬も気付いて眉を顰めさせた。
「俺まだ十六だからな」
「そうしたゲームやっているのか」
「まあ内緒でな」
「全く、御前も年頃だな」
「仕方ないだろ、こうしたことはどうしても興味あるからな」
「お母さんに見つかったら怒られるぞ」
「わかってるさ、けれどな」
それでもとだ、白馬はまた言った。
「そんなにしてないからな」
「それで罪滅ぼし
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