第三章
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「だったらね」
「もうそれでか」
「そう、だからね」
それでとです、ヒラウはエラガマラスのお家で本人に言うのでした。
「お祖父ちゃんもね」
「これからはか」
「普段はお髭を短く束ねてまとめて」
そしてというのです。
「袋で覆っているといいよ」
「そうすると汚れないからか」
「そう、それで汚れない分」
袋に守られてです。
「お髭は奇麗なままだよ」
「いいこと尽くしか」
「私そう思うけれどどうかな」
こうも言うのでした。
「これからはそうしたら」
「そうだな。汚れることがそれで防げるなら」
エラガマラスもそれならと思いました。
「それがいいな」
「うん、泳ぐ時も大変だよね」
「ああ、お髭が身体にまとわりついてな」
「そうなることもないし」
「いいこと尽くしか」
「だからお祖父ちゃんこれからはそうしよう」
「わかった、それじゃあな」
こうしてでした、エラガマラスは普段はお髭を束ねて短くしてその上に袋を被せている様になりました。するとです。
お髭は守られて汚れることが減りました、それでです。
もう普段お髭が汚れることを着にしなくなってその分です。
「怒ることが少なくなったわね」
「そうか?」
「ええ、凄くね」
お家で奥さんにもこう言われました。
「少なくなったわ」
「お髭のことでか」
「だってあんまりにも長いお髭がいつも出ていたのよ」
これまではです。
「だったらね」
「汚れることも当然か」
「それは避けられないし。けれどね」
「今はか」
「ちゃんと短く束ねられて袋に覆われているから」
だからだというのです。
「それでよ」
「汚れなくなってか」
「機嫌もよくなったわ」
「じゃああれか」
ここでエラガマラスは気付いたことがありました、その気付いたことは一体どういったものかといいますと。
「大切なものなら短くして隠しておくべきか」
「そうね、それじゃあこれからは」
「お髭は包んでおこう」
奥さんにこう言ってです、そうしてでした。
エラガマラスは普段はお髭をちゃんと畳んで袋に入れて汚さない様にしました。それからは前よりもずっと不機嫌になることも少なくまたお髭も奇麗なままでいることが多くなりました。彼にとって非常にいいことでもありました。昔々のパラオのお話です。
長い髭 完
2018・7・13
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