第一章
[2]次話
長い髭
パラオの昔々それこそ世の中が出来たばかりの頃のお話です。
パラオの島にエラガマラスというとても強い男の人がいました。この人はどんな武器でも誰よりも上手に使えて素手の戦いも水泳も敵う者なしでした。
エラガマラスはパラオでその強さでとても有名ですが、ですがそれだけで有名ではありませんでした。
そのお髭でも有名だったのです、エラガマラスは顔の下半分を覆うお髭を切らずに伸ばしていてその長さは何と一・八メートルもありました。
それでそのお髭をいつも自慢していて奥さんにも言うのでした。
「このお髭はいつも手入れしているからな」
「だからですね」
「絶対に汚せない」
こう言うのでした。
「だから御前もだ」
「汚したら駄目ですよね」
「そうなればわかるな」
「わかります、見ましたから」
奥さんは顔を曇らせてご主人に答えました。
「貴方がお髭にお食事の時お汁がかかって」
「よくあるな」
「その度に物凄く不機嫌なお顔になりますから」
「このお髭は私の自慢なのだ」
右手で丁寧にさすりつつ言うのでした、そのお髭を。
「だからな」
「汚れると」
「私はそれだけで嫌になる」
それもとてもです。
「だからな」
「いつも時間をかけて洗って」
「手入れをしてな」
「汚さない様にしていますね」
「そうしている、だから御前もな」
奥さんにも言うのでした。
「この髭を汚さないよな」
「わかっています」
奥さんもこのことは承知していました、ですが。
エラガマラスのお髭はとても長いのです、あまりにも長いので地面にも垂れ下がりますしそれで誤って踏んでしまう人もいて踏まれて汚れてエラガマラスはその都度怒ります、これにはパラオの皆も困ってしまいました。
「お髭が長過ぎるんだ」
「だからついつい踏んでしまう」
「ちょっと果物のお汁がかかっても怒るし」
「あれだけお髭が長いならちょっとしたらかかる」
「だからああしてだ」
「ちょっとしたことで怒られると」
「こっちも困るよ」
パラオの人達は困ってお話しました、エラガマラスは確かに素晴らしい戦士ですがそれでもその自慢のお髭のことはです。
とても困っていました、それで言うのでした。
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