第一章
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知られていない活躍
ヘラクレスはギリシアにその名を知られている英雄だ、その強さたるやまさにギリシアにおいて並ぶ者がいないまでだ。
多くの困難を潜り抜けまた実に多くの怪物達も倒してきた、それで誰もが彼を褒め称えていたがヘラクレスはいつもその岩の様に逞しい顔でこう言っていた。
「私だけで出来ることではない」
「これまでのことは」
「そうなのですか」
「私はいつも一人ではなかった」
こう言うのだった。
「常に私を助けてくれる者がいてくれている」
「そうなのですか」
「そうした御仁がおられるのですか」
「それで、ですか」
「ヘラクレス様もことを果たせているのですか」
「そうだ、この者がいるからだ」
巨人の様に大柄で逞しくかつ毛深いヘラクレスとは正反対の男だった、小柄で体格も痩せこけていてまた体毛も薄い。その外見は実に目立たないものだった。
だがその彼を見つつだ、ヘラクレスは言うのだった。
「我が甥イオラオスがな」
「イオラオス殿ですか」
「その御仁がおられてですか」
「ヘラクレス様はこれまでことを果たせていますか」
「そうなのですか」
「いつもこの者が共にいる」
イオラオス、彼がというのだ。
「ケルベロスを捕らえた時もアルゴー号での冒険の時も他のあらゆる時もな。特にな」
「特に?」
「特にといいますと」
「ヒュドラーを倒した時だ」
まさにその時だというのだ。
「あの九つの頭を持つ大蛇をな」
「ああ、あの大蛇は強かったですね」
「首を切られてもそこから二つの首が新たに生えて」
「しかも猛毒を持っていて」
「とんでもない強さでしたね」
「あの時私はヒュドラーの首を切った跡を焼いて新たに首が生えることを防いだが」
そうして首を一つずつ減らしていき倒したのだ。
「しかしだ」
「その時もですか」
「イオラオス殿がおられたので」
「だから倒せたというのですか」
「そうだ、この者が気付いて言ってくれたのだ」
ヘラクレスはここでイオラオスを見ていた、そのうえでの言葉だった。
「傷口を塞いだら生えなくなるのではとな」
「そのことにイオラオス殿が気付かれて」
「それで、ですか」
「傷口を塞ぐ為には焼けばいい」
「イオラオス殿が気付かれ」
「それを実行に移したので」
「しかもその焼く役目もしてくれた」
やはりイオラオスを見て言うのだった。
「松明を持ってな」
「では、ですか」
「ヒュドラーはイオラオス殿がおられないと倒せなかった」
「そうだったのですか」
「そうだ、他にもいつも知恵を出して私と共に戦ってくれている」
彼を補佐してというのだ。
「だからこの者がいないとな」
「ヘラクレス殿は戦えない」
「これまで通りに」
「そ
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