018話 修学旅行異変《弐》 西の刺客
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うとする。
「ひ…ひ…」
声にならない悲鳴を上げながらも、女はシホさんから視線を外すことはなかった。
恐怖か、または眼で命乞いをしているのか……?
その立場になって見なければわからないだろう。
そしてすさまじい殺気が含まれていた眼光を浴びて敵であった二人は、そのままシホさんの投擲した剣で壁にまるで虫の標本のような格好にさせられて気絶してしまっていた。
するとシホさんも殺気を霧散させてお嬢様を抱きかかえた。その顔はいつもの顔に戻っていていた。
「ま、こんなものでいいかしら」
そこにはさっきの姿はもうないといわんばかりにいつも通りのシホさんの姿があった。
すると背後からドサッという音がするので見てみるとネギ先生たちが片膝をついて震えていた。
それもしかたがない。私ですら背中に大量の汗を出しているのだからこの反応は当然だ。
「すみません、ネギ先生達。二度と悪さをさせないように灸を据えるつもりで殺気を放ったのですが、思った以上に被害を与えてしまいました」
「い、いいってことよ、シホの姉さん。それよりこのか姉さんは大丈夫か?」
「はっ! そうだ、お嬢様は!?」
「平気みたいよ、刹那。はい、預けるわね。私はこいつらを縛らないと……、…ッ!? いけない!」
シホさんはそう言うといきなり走りこんだ。
どうしたのか見ると敵の呪符使いと月詠が地面に転移魔法かなにかによって消えかかっているからだ。
私たちも後を追うがやつらは地面に消えてそのまま気配を消してしまった。
「くっ…私としたことが逃がしたか」
「シホさん、大丈夫です。お嬢様は取り返すことができたのですから今は次のことを考えましょう」
悔しそうな顔をすぐに切り替えると「そうね…」とだけ呟いて立ち上がった。
「でもこれであの二人以外に敵がいることは明らかね」
「はい」
「う、ん……」
「このか!?」
そこでお嬢様が起きたらしく目を開いた。
「ん……あれ? せっちゃん…? ……ウチ…夢見たえ…変なおサルにさらわれて……でも、せっちゃんやネギ君やアスナが助けてくれるんや……」
「よかった……もう大丈夫ですよ、このかお嬢様」
「……よかった―――…せっちゃん、ウチのコト嫌ってる訳やなかったんやなー……」
「えっ…そ、そりゃ私かてこのちゃんと話し……はっ! し、失礼しました! わ、私はこのちゃ……お嬢様をお守りできればそれだけで幸せ……いや、それも影からひっそりとお支えできればそれで……その…あの……御免!!」
「あっ……せっちゃ〜ん!?」
私は恥ずかしくなり逃げ出すしかできないでいた。
でも背後からアスナさんが「桜咲さ〜ん! 明日の班行動一緒に回ろうね〜。約束だよ〜!」と言ってくれたので心が幾分軽くなった。
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