二十 木ノ葉のスパイ
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白の青年へ襲い掛かった。
キバの猛攻をひらりとかわすと、色白の青年は胡散臭い笑顔を浮かべて、ナルを見つめる。
シカマルの術で身動ぎできないものの、強い眼光で自分を睨む彼女を、色白の青年────サイは愉快げに眺めた。
そうして軽く屋根を蹴る。
キバとシカマルには眼もくれず、ナルを一心に見据えながら、サイは印を結んだ。
「いずれ、またお会いしましょう」
刹那、墨がサイの全身を覆いつくす。
墨が消えた頃には、サイの姿は何処にも無かった。
「何者だ、アイツ?」と犬歯を覗かせて唸るキバの横で、「な〜んか、見た事あるんだけどな〜」とナルは不思議そうな表情を浮かべる。
過去の記憶を辿いながら【影真似の術】を解いたシカマルは、ハッ、とようやく思い当った。
(そうか。アイツ、サスケと────)
(───さて、)
執務室で手を組みながら、綱手は自分の部下を下がらせる。
いのやシズネを始めとした部下達が部屋から遠ざかったのを見計らって、彼女はやにわに【口寄せの術】を発動させた。
己が契約している口寄せ動物の大蛞蝓。
今はさほど大きくもなく、肩に乗せられる程度の大きさの蛞蝓は、綱手の視線を受け止めると恭しく首を垂れる。
暫しの沈黙の後、ようやく手元のカツユが相手からの言葉を綱手に伝えてきた。
≪なんだ?≫
「ご挨拶だねぇ」
蛞蝓【カツユ】が分裂した個体はみな意識を共有している為、どれだけ離れていても情報の伝達が可能である。
よって定期的に五代目火影である自分へ情報伝達するようにカツユの分身を相手に前以って渡していたのだ。
本来は、綱手の口寄せ動物であるカツユが分裂した個体が受け答えする為、丁寧な口調が返ってくるはずだが、どうやったのか、相手本人の声が直接聞こえてくる。
かつて、木ノ葉隠れの里を抜けた────。
「元気かい、サスケ?」
≪何の用だ?≫
表向きは抜け忍であり、実際はスパイとして大蛇丸の許へ潜り込んだ────うちはサスケ。
昔と変わらぬ相変わらずのぶっきらぼうな物言いに、綱手は口許に苦笑を湛えた。
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