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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十 木ノ葉のスパイ
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感じながら、綱手は「ったく、あのせっかちが…」と苦笑した。
ナルの飛び出した勢いで、巻き起こった風に髪を靡かせる。


「まだ、『暁』の罠の可能性もあるってのに…」












天地橋へ向かう気満々のナルを任務から外せば、逆に躍起となって単独で行動するのが容易に思い浮かぶ。
ナルの性格からして、その際、ひとりでいるところを『暁』に狙われる危険性もある。故に、最初からナルを天地橋へ向かわせるメンバーに組み込んでおいたほうが良い。

しかしながら、本当に草隠れの里にある天地橋へ、大蛇丸の部下に潜り込ませたサソリのスパイが来るかどうか、確証は無い。サソリからの話とならば、サソリ本人は橋に来ないだろうが、『暁』がこの情報をわざと流した可能性もある。

つまり、大蛇丸を餌とし、『暁』が天地橋で待ち伏せしている場合もあるわけだ。
そうなれば、九尾の人柱力であるナルが向かえば、『暁』の思う壺。





思案げに眼を伏せた綱手は、意気揚々と飛び出したナルの軌跡を視線で追いながら、軽く髪を撫でつけた。


(真偽を確かめねばならんな…)















































「そりゃ協力してやりてーのは山々なんだけどよ…」


期待に満ちた瞳でじっと見つめてくるナルの視線から顔を逸らす。
気まずげに視線を泳がせながら、奈良シカマルは眉間に深い皺を寄せた。


「めんどくせーけど、中忍試験の係員、任されちまってな」




ナルが風影の我愛羅を奪還して無事に戻ってきた。
更には新しいチームメンバーとして自分を頼りにしてくれたのはすこぶる嬉しいが、如何せん、綱手から中忍試験の係員に任命されたばかり。


一緒に任務に参加したいのは山々だが、タイミングが悪いな、と溜息をついたシカマルは、恨めしげに自分をじ〜…と見つめる青い瞳に、思わず「んぐ」と喉を詰まらせた。



そわそわと視線を彷徨わせるシカマルをよそに、彼をじっと見つめながら、ナルはむすっと唇を尖らせる。

綱手といのの会話である天地橋の話を聞いて、ナルは早速メンバー探しに繰り出していた。
風影奪還の任務に共についていたヒナタといのも、今度の任務にも続けて参加すると希望してくれたが、疲労が溜まっている様子だったので、彼女達には休息をとってもらうようナルは頼んだ。

自分は元々体力バカで、その上、チャクラも多い。
既に体力もチャクラも回復しているし、里抜けして大蛇丸の許へ行ってしまったサスケとサクラに再会できるチャンスを逃す気も更々無い。

よっ
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