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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十 木ノ葉のスパイ
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「────サソリに会うのは」











陰鬱な空気が漂う隠れ家。その内に潜む各々が抱く意図。
食い違う思惑の中、物言わぬ蛇の銅像だけが変わらずに蝋燭の眼を赤々と輝かせていた。
































「ビックリしたってばよ、カカシせんせー!!」
「木ノ葉の里に帰るなり、ぶっ倒れるんだもんね〜」
「だ、大丈夫ですか…?」


三者三様。女三人寄れば姦しいと言うが、三人とも自分を心配してくれているので、カカシは布団で覆い隠した口許に苦笑を湛えた。


風影である我愛羅を無事、砂隠れの里まで送り届けた事で、はたけカカシ・波風ナル・山中いの・日向ヒナタの任務は見事遂行された。

『暁』のメンバーを誰ひとり拘束できなかったのは口惜しいものの、一人の犠牲も出さなかった事は僥倖と言えるだろう。
【写輪眼】、それも新しい瞳術【万華鏡写輪眼】の使い過ぎでダウンしてしまったカカシを除いては。



木ノ葉の里に辿り着くまでは気力で歩いていたが、万物の始まりと終わりを示す『あ』と『ん』の文字が連なる重厚な門が近づくにつれ、気が緩んでくる。
深い峡谷の如き門を抜けると、木ノ葉の里へ無事帰還出来たという安堵感が一気に押し寄せると同時に、今まで張り詰めていた緊張の糸がついに切れてしまった。



門を潜るや否や、バッタ────ン!!と勢いよくぶっ倒れたカカシに、ナル達を始め、門番の神月イズモ・はがねコテツが驚いたのは言うまでもなかった。

















「ご苦労、カカシ」

木ノ葉病院の病室。
布団の上で眼を覚ましたカカシは、ナル・いの・ヒナタ以外の女性の声に、大きく眼を瞬かせた。
無理に起き上がろうとするカカシを、病室へ入ってきた五代目火影─綱手は押し止める。


「無理はするな。さっき診させてもらったが一週間はベッドの上だな」

任務復帰には更に数日かかる、と告げながら、綱手はカカシを病院まで運んでくれたイズモとコテツに眼を向けた。


「悪かったな、此処まで運ばせて。もう戻っていいぞ」
「いえ」
「良い息抜きができましたよ」


門でぶっ倒れたカカシを木ノ葉病院まで連れて来たイズモとコテツは、苦笑いを浮かべる。
正直、暇で飽きていたところだったので、良い息抜きが出来たと笑い合いながら、門番の仕事へ戻る二人を見送って、綱手は視線をカカシに戻した。


「当分は無理せず養生することだ。報告書は後日で良い」

前以って砂隠れの里から、風影を無事『暁』から奪還できた旨を聞いている綱手は、急を要する話は特にない
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