さよなら
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メねぇか?」
「お断りします」
ベルが即答する。
「腹が減ったからと金の卵を産む鶏を絞め殺そうとは…。貴方には学がないんですね。そんな空っぽの頭でよくもまぁその年までダンジョンで生きられた物だ」
ベルの口からはそんなセリフがスラスラと流れた。
「このっ……クソガキィ…!」
男が剣を抜き、ベルに斬りかかる。
ベルに剣が当たる寸前。
ガキィン! と甲高い音が響いた。
続いてカンッ!カランッ! と何かが落ちた音。
落ちたのはキラリと光る鋒。
男の剣は中程から叩き折られていた。
「失せろ。僕達に手を出すな」
ベルが音の首にアリファールの鋒を突きつける。
男が後退りする。
「これは警告だ。もしも僕達に何かしよう物なら、骨まで残さず燃やす」
小さな少女が持つ気迫に押される。
男は舌打ちすると、折れた剣を鞘に入れ、踵を返した。
ベルがアリファールを鞘に戻すと、キン…と翼が閉じた。
「ありがとう。アリファール」
ふわりとつむじ風がベルの頬を撫でた。
ベルが噴水に腰掛け、五分程待つとリリが来た。
「お早う。リリ」
「お早うございますベル様………。なんだかやつれていませんか?」
「少し寝不足なんだ。今日辺りリヴェリアさんが帰って来るから課題をやっとかないといけないんだけど、最近やってなくてさ」
「はぁ…なるほど…。今日は探索やめておきますか?」
「いや。いいよ。大丈夫」
ベルが立ち上がる。
何時ものワンピースと鎧を組み合わせたドレスアーマーだ。
ベルが歩き出す。
その後ろをついていくリリの視線は、ベルが腰の後ろでに互い違いに並べた短剣に注がれていた。
「リリ。今日は早めに帰りたいから、中層には行かないよ」
「はい。わかりました」
二人がバベルの階段を下っていると、周囲でひそひそと話す声がした。
「僕がリヴェリアさんと団長の子供とかあるはずないのになー」
ダンジョン内部に入ると、ベルが面白そうに言った。
「子供、ではなく娘、ですよベル様」
「僕は男だよ」
ぷぅ、と頬を膨らませるベル。
リリが面白がってつつくと、プシュッと空気が抜けた。
「ベル様が男性だなんて信じられませんね。頬っぺたモチモチじゃないですか」
「うーん…なんでだろうね…。特に何かしてるわけじゃないんだけど…」
「今全世界の女性を敵に回しましたよ貴方」
「うん…そうだね…」
10階層。
霧が立ち込めるその場所で、ベルはオークと戦っていた。
早く速く正確な一撃がオークの首を
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