曙光、されど暗雲晴れず
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携われている。……形だけの、看板だけの正義の味方だが、こうしていられる事はとても幸運なんだと思う」
「……」
「だからロマニ、お前は何も気にするな。正式な雇い主はアニムスフィアだが、今はお前が代行だろう。雇われ者として最善は尽くす。だからロマニは命令すればいい。人理を守れ、エミヤさんってな」
「……分かった」
後ろめたさのようなものを隠しながらロマニは頷いた。
カルテを纏め、ロマニは数瞬、俺を見て。
何かを言いかけ、酷く迷う素振りを見せた。だが、
「ロマニ・アーキマン」
オルタが唐突に口を開き、ロマニに釘を刺した。
「黙っていろ。それはシロウが知る必要はない事だ」
「……でも、これは」
「黙れと言った。私は気にしないし、シロウも知った所で気にしない。だから余分だ、それは。無駄な事を貴様は自己満足で口走ろうとしている。自制しろ。死ぬまで」
「……」
「当人の前で堂々と秘密事か? 余り良い気はしないな」
人間誰しも秘密は抱えているものだが、こうも明け透けにされると鼻白むものがある。
思わず呆れると、オルタはそっぽを向いた。
アルトリアは何も言わない。ロマニも気まずそうだ。
はぁ、と嘆息する。
「そんな重苦しい顔をするな。よく分からんが、俺が知ってもどうしようもない事なんだろう? なら言わなくて良い。そこのところはお前が判断しろ、ロマニ」
「……すまない、ちょっと変なことを言い掛けたかもだ」
マシュもそろそろ起きそうな気配がする。俺はそれで、と本題に入る事にした。
「で。何しに来たロマニ。スタッフを使わず、わざわざ自分で俺の所まで来た事情を言え。どうせろくでもない事だろうけどな」
「……お見通しか。流石だよ」
「何が流石だ、そんなあからさまに何かありますよって面しておいて」
もう苦笑すら出来ない。本当、忙しないなと思う。
体調は万全ですらないのだからトラブルは勘弁してほしいなと心から願った。
が、無常。現実は残酷である。
意を決したロマニが、重苦しく言った。
「新たに特異点が二つ観測された」
「………………なに?」
「二つの、七つの特異点とは別に、人類史の歪みを発見した」
「……………………」
アルトリアを見ると、目を逸らされた。
天を仰ぐ。神よ、どうか殴らせたまえと呟くしかない。
ロマニは言った。
「ついてはカルデアは、それぞれの特異点に衛宮士郎、ネロ・クラウディウス両名をレイシフトし、同時に特異点をなんとかする事になった」
「………………いつ?」
「三日後」
「……………………」
俺は思った。
糞過ぎるだろ、と。
しかし腐っていても仕方ない、俺はロ
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