第58話 目覚めた後で
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るまで気が付けないとは何とも間抜けな話だ。
「リィンはわたしの事をどう思っているの?ただの妹?」
「……正直に言えば告白されてすごく嬉しい、でも今まで俺はフィーの事を女としてみないようにしていた。エレナやレンの事があったから……」
フィーの気持ちは凄く嬉しい。俺にとってもフィーは守りたい大切な存在だからだ。でもエレナやレンを守れなかったような俺が、本当にフィーを守れるのだろうか?
ただでさえ謎の力に怯えている俺が、そんな浮ついた気持ちであの力と向き合えるのか?そう思うと俺も好きだと言えなくなってしまう。
(俺はエレナたちを理由にしてフィーの気持ちから逃げてしまっている。こんなのフィーに対してもエレナたちに対しても失礼だって事は分かっている。それなのに……)
「……リィン、告白の返事は今は保留でいいよ」
「えっ?」
思い悩む俺に、フィーは何と告白の返事は保留でいいと話した。
「リィンは今自分の事で精いっぱいだし、まずは自分の事を解決してからちゃんと考えて答えを決めてから教えてほしい」
「……ごめんな、直ぐに返事をしてやれなくて」
「ん。リィンがヘタレなのは分かっていたしね」
フィーにヘタレと言われてしまい俺は何も言い返せなかった。
まあ確かにこんな風にウジウジと考えていればヘタレ扱いされても仕方ないよな。
「……フィーの気持ちは分かった、俺もちゃんと答えを決めてから君に話すよ。だからもう少しだけ待っていてくれ」
「……ん、期待して待ってる」
フィーははにかみながらニコッと微笑んだ。
俺はそれを見て今まで可愛いなとしか感じなかったフィーの笑みに、女性としての魅力を感じ取って顔を赤らめてしまう。
「じゃあ改めて団長の元に行こっか」
「ああ、そうだな」
俺は照れたことを隠しながらフィーに手を引かれて部屋を後にした。
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