第58話 目覚めた後で
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
がいいんじゃないかって思ったこともある。でも前にユン老師に言われたことがあるんだ。自分のを想ってくれる人がいるという事を、その人たちを悲しませるような事は絶対にしてはいけないと」
「……」
「だからフィーの目の前から黙って消えたりはしない、そんなのはただの独りよがりだから。黙っていたくせに何を言ってるんだと思うかも知れないがこれは絶対に破らない」
「……本当に?」
「信用ないな……約束しただろう、死ぬときは一緒だって」
俺は昔フィーと再会したときにかわした約束を伝えた。しかし昔の事とはいえ我ながら何とも重い約束をしたなとちょっと苦笑する。
でもフィーはその約束を何よりも大切にしているからか、クスッと微笑むと俺から離れる。
「ん、あの約束を出されたのなら信じるよ。リィンは嘘つきだけど約束は守る人だから」
「矛盾しているな……」
「自業自得。これを機に少しはそういう所を直すべき」
「了解」
俺は苦笑を浮かべながらフィーの頭を撫でる。
そしてある決意を決めた。
(これ以上フィーを心配させるわけにはいかない。もしさっきの夢が正夢になったりしたら……それだけは何としても避けなくてはならない)
このままでは近い将来、先ほど見た夢が現実になってしまうかも知れない。
最早なりふりなど構ってはいられない、俺は自身に眠るこの力と本格的に向き合わなくてはならないと強く思った。
「フィー、俺もこの力については正直分からない。でも俺が知っていることを全て話すよ」
「分かった。リィンの事、ちゃんと教えてほしい」
俺はこの力が初めて目覚めた時の事をフィーに話した。
「前に聞いたエレナって人を助けようとした時に、あの力に目覚めたんだ」
「ああ、それ以来強い怒りなどを感じると無意識に発動することは度々あったんだ。でも1年位前から自分の意志と関係なく力が漏れ出す事が起き始めた」
「団長はこのことを知っているの?」
「力については団長には話していない。フィーぐらいかな、この事を話したのは」
俺がそう言うと、フィーはジト目で俺を見つめため息をついた。
「リィン……」
「す、すまない……昔、団長と約束したんだ、俺の体に何か異変が起きたら直に言えって。でもそうしたら猟兵を辞めさせられると思ったから……」
「言い訳無用……と言いたいけど気持ちは分かるかな。わたしも団長に無理を言って猟兵になったんだし」
そうか、フィーは俺を探すために猟兵になったんだ。
原因となった俺としては結構複雑な思いだが、フィーは仕方ないという表情で俺を見つめてきた。
「流石にこれ以上隠すのは良くないと思う。でもリィンがまだ猟兵として活動していきたいのなら、わた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ