第58話 目覚めた後で
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は何も聞いてこなくなった。
だが1年ほど前からあの力を抑えきれなくなってきた俺は、前に団長と約束した自分の体に異常が起きたら猟兵を辞めるという事を恐れて誰にも相談しないで今日までやってきた。
もし今俺が猟兵を辞めたらレンを追う手掛かりがつかめなくなってしまうと思ったからだ。でもとうとうバレてしまったようだ。
「リィン、アレをまた見た以上もう誤魔化しは通用しない。ちゃんと正直に話して」
「いや、あれは……その……」
「どうして何も教えてくれないの?リィンにとってわたしは役立たずでしかないの?」
「そんなことは無い!ただこれは俺の問題だから……」
「だからだよッ!!」
フィーは普段は絶対に出さないような大きな声を出して俺を睨みつけた。フィーがこんな表情を浮かべるなんて初めて見たぞ……
「お、おいフィー、落ち着いてくれよ……」
「……」
「あっ……」
フィーは泣いていた。その瞳から大粒の涙がポロポロとこぼれベットのシーツを濡らしていく。
「今日のあなたを見てわたしは自分がどれだけ楽観的だったのか思い知らされた。リィンがずっと苦しんでいたのに、勝手に大丈夫だと思い込んでわたしは気が付いてあげられなかった」
「それはフィーのせいじゃない、俺が何も言わなかったから……」
「それでも気が付きたかった、わたしはリィンの力になりたかった……」
悲痛な表情を浮かべながら泣き続けるフィー、そんな彼女を見て俺はどうすればいいか分からずにオロオロとしている。
実に情けないな……
「大体リィンもリィンだよ。いつも一人で抱え込んで何も相談してくれない……」
「うっ……」
痛い所を突かれた俺はぐうの音もでなくなってしまう。
「その、ごめんな。俺はフィーに心配をかけたくなくて黙っていたんだが、かえって心配させてしまっていたんだな」
「うぐっ、ひぐっ……」
「本当にごめんな……」
俺は謝りながら彼女の小さな体を抱きしめた。団長ならもっと上手に事を運ぶんだろうが俺にはこれくらいの事しかできない。
暫くフィーを抱きしめながら彼女の頭を撫で続ける、するとフィーは少し落ち着いたのか顔を上げて俺を上目遣いで見つめてきた。
「リィン……」
「なんだ?」
「リィンはいなくなったりしないよね?何処かに行ったりしないよね……?」
俺はその言葉を聞いてフィーが何を心配しているのか理解した。
(フィーは恐れているのか、俺が皆の前から黙って姿を消してしまわないかと……)
フィーは俺の性格をよく理解している。
思いつめた俺が黙って消えてしまわないか心配なのだろう。
「フィー、確かに俺は何回か皆の前から姿を消した方
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