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提督がワンピースの世界に着任しました
第32話 多事多忙
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かではないが疑いが出ている。

 そう。もう一つ面倒な問題が有った。人間オークションで商売をしている人間屋のお得意様である天竜人から、世界政府を経由して競売前の奴隷を「奪還」せよ、という要請が来ていた。暴れまわる海賊の捕縛や治安の維持よりも優先して、奪還の任務を遂行するようにと言われている。

 本当に馬鹿らしい話である。しかし、この現状に異を唱えても事態は何も変わらないだろう。この件を全て解決するためには、海軍兵士を全員を動員したとしても難しいだろう。むしろ今は、混乱した世の中をこれ以上は乱さないようにしなければならない。

 一つ一つの問題を片付けていく必要がある。海軍における最上位の階級である元帥と言っても自由には動けない。信じる正義はあるのに、今の立場に雁字搦めで窮屈さを感じていた。

「おい、センゴク! どういう事だ!」
「来たか、ガープ」

 大声を上げてセンゴクの執務室にやって来たのは中将ガープ。難問の数々に顔をしかめるセンゴクとは別の種類の、苦虫をかみつぶしたような不機嫌そうな表情を浮かべて彼は執務室に入ってきた。

「この辞令は一体、どういう事だ!」
「お前の大将への昇進が決定した」
「なんだと。いや、俺は」
「聞けッ!」

 怒りながら本題に入ったガープ。不満なのは、突然伝えられた昇進の辞令について。ガープは昇進の話を今回も断ろうとしたが、遮ってセンゴクは続ける。

「今までは、お前の要望を出来る限り聞いてきた。家族の事も理解している。しかし現状では、もうこれ以上にお前の昇進を先延ばしにすることは出来ない」
「……」
「海賊が日を追って増えているが、対抗するための兵士の数が圧倒的に足りない。そんな状況で、お前のような人材を遊ばせておくわけにはいかない」

 ガープを中将から大将へと昇進させることで権限を増やし責任を負って働いてもらう。今までは昇進を断るガープの事情を色々と理解し、要望を可能な限り聞いてきた。だが時代の情勢が変わってしまい今回は、彼に昇進を受け入れてもらうしか道はない。ガープは、とうとう今回は断ることが出来ないと理解した。

「……わかった。昇進の辞令は受けよう。ただ、代わりと言ってはなんだが一つ願いがある」
「なんだ?」
「俺の後釜にクザンを。それと、何人か若手を昇進させてやってくれ」
「わかった」

 現在の混乱した社会をこれ以上荒れないように動くことも大事だが、未来に向けて若手を育成しながら次世代に向けての準備も大事だとセンゴクは先を見据えていた。現場で働き続けてきたガープの言葉を信じれば、昇進させるのに実力は十分にあるのだろう。あっさりとガープの願いを聞き入れる。

 こうして海軍のトップに立つ海軍元帥センゴクは、忙しい日々を送りながら正義の名のもとに
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