偽伝、無限の剣製 (後)
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る。俺は確信していた。俺は勝つと、俺達は勝つのだと。
流麗な剣捌きで踊るネロを見ろ。豪快に樹海を滅する暴竜の如きオルタを見ろ。まだまだ余力を残している、余裕がないのは俺だけだ。ザマァない、死に損ないすら満足に殺せない輩が人理焼却? 笑わせる、せめて俺を瞬殺出来る程度でなければ、とても人を滅ぼせるものか。
人間の生き汚さをナメるな、この俺の面の皮の厚さを侮るな。どこまでも厚顔に、洗濯物に染み着いた油汚れの如くに居残り続けてやる。根比べで俺より上の奴なんていないって教えてやる。俺は雑魚だがしつこさだけは一級だ!
さあ来い、すぐ来い、もっと来い! 俺はまだ生きているぞ!
「シェロ! 無事か?!」
赤薔薇が舞う。
腹から鋼の剣を生やした俺を見てネロは息を呑む。
俺は快活に応じた。
「無事に見えるか?」
「うむ、見えぬ!」
力強く即答し、素早く俺の状態を確認したネロは飛来した数十の枝葉の渦を切り払う。
「しかし今すぐに死にそうにもないな!」
「ああ、なら問題はないな」
「問題はあろう!? どういう理屈で腹の中から剣に貫かれるのだ?!」
「腹の中に呪詛の類いを弾く剣を投影しただけだ。慣れたら意外と病み付きだぞ」
元々低い対魔力だ。他人に呪われること幾数回、俺の見い出した対策がこれ。最終手段だが意外と効果的で笑えてしまう。患部を直接投影宝具で貫けば、大概の呪詛はイチコロだ。
アルトリアの対魔力を貫通する以上、時間稼ぎにしかならない応急手当だが、やらないよりはましである。延命できて10分、その間に魔神を倒せれば呪いも解れて消えるだろう。
大地が波打つ。
聖杯の反応が一際強く脈打った。
敵主力の要を負傷させた魔神が攻め時と見たのか、一気にカルデアを滅ぼさんと仕掛けてきたのだ。
貴様ら人間の旅はここで終わりだと告げるように。分かりやすく、単純に、純粋な質量で圧倒的に圧殺せんと、顕在する全てのヘドロの樹海を天高く掲げ、鞭のように振り下ろす。
さながら褶曲のアンデス山脈そのものが倒壊してくるかの如き光景。
偽物の丘は暗影に覆い尽くされた。
無恥なる天空は汚辱され尽くした。
ちっぽけな人間を蹂躙せんと迫り来るのに、しかし人間に諦念はない。
爛々と燃える双眸は最後まで諦めない不屈の炎を宿す。
大地を踏み締める両の脚はまさに不退転。
ぎらりと目を光らせる。
此処だ、
此処しかない。
叫んだ。
「オオォォォ――ッ!」
全てを懸けた雄叫びに真っ先に応じたのはオルタだった。闇色のドレスを翻し、漆黒の刀身に奔る赤い紋様を指先で撫でる。黒の聖剣を下段に構えて闇の柱と化させ、渾身の逆撃を以て仕留めに掛かる敵の隙を狙う。
俺はほぼ喪失した固
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