溺れし神は何を見るか
第三話:夢を見るときに。
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られない速度で動くエネルの速さは、依姫の数段上を行く。
「お前の剣では私に攻撃出来んことがまだ分からんか! ゴムで出来た剣でもあるまいに!」
「ゴムならば攻撃できると? いいことを聞きました。まぁ生憎、貴方の言う通り私の剣はゴムで出来ていません。ですが、それならそれなりの、戦い方がある!」
「……何を?」
「へぇ、考えたわね。流石よっちゃん!」
姉の言葉に、それはやめてくださいといった顔をしながら、剣に水を纏わせる依姫。この行動の意味が豊姫には理解できたらしい。
「知っていますか? 水は電気を通しますが、それは、水中に肉眼では捉えられない不純物が電気を通すからです。そして、一切不純物が無い純粋な水であれば、電気は通らない!」
「何!?」
能力で、自身の体に水を操れる神と、穢れを取り除く神を憑依させる。この二柱の力により、依姫は、純水を手に入れることができる。これでエネルはアドバンテージを一つ失う。
そして――――
「タケミカヅチ様の力!!」
依姫は、自分の知る中でも最強に近い神を憑依させ、体に青白い雷を纏う。
タケミカヅチノミコト。その一柱が司るは"雷"。これにより、依姫は雷速の世界に足を踏み入れる。
「もう逃しません!」
一歩踏み込むだけで、エネルは依姫を見失う。
(速い!! どこに!?)
「ここです」
声は下から聞こえ、エネルが下を見たとき、彼の視界には、水に覆われて怪しく光る刃が迫っていた。避けることも叶わず、エネルの体に深々と剣撃が入る。
「ぐうぅ!? お、おのれ……! 小娘がぁ!!」
「……そのような呼ばれ方は久しぶりです」
月の民は、"穢れ"を嫌う。嫌いに嫌って行き着いたのが、この月だった。
「私達は穢れから隔離されたことにより、年を取ることがありません。こう見えて、貴方の数千万倍は生きているのですよ」
「ハァ……ハァ…グッ、ガハッ!」
堪らず、吐血しながら膝をつくエネル。
「だから何だと言うのだ……! 私は、神……だ!」
「……哀れね。貴方は神ではないわ。ただの、少し強い人間よ」
「黙、れ! 邪魔だ、ハァ、お前ら……ハァ、ウグゥ!」
「死になさい」
「ま、待て……ェ……!」
問答無用。と言わんばかりに剣を振り上げる依姫。そこに、慈悲など無い。
「この場所は、この 限りない大地は……」
二度も地に這いつくばり、今度は殺されるだろう。だが、エネルは諦めない。彼は今もまだ、"夢"を見ているのだ。
「……おれのものだ!!!」
その時、豊姫は見た。
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