溺れし神は何を見るか
第三話:夢を見るときに。
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見ていたけれど」
「何を食べている……?」
「あら、桃よ。モグ、美味しいわよ。食べる?」
「…自重してください」
そう言って手に持っていた三つの桃のうち一つをエネルに投げ渡す。エネルは後ろを振り向くことなくそれをキャッチする。
「ゴクン。やはりね」
「?」
「貴方、攻撃を先読みしているでしょう?」
「何故そうだと思った?」
「簡単な話よ。あらゆる生物は攻撃を受ける際に一度目で見てからじゃないとどう動けば良いか判断できないわ。当たり前よね。どこをどのように攻撃されるかわからないもの。でも、貴方が依姫の攻撃を避けるとき、まだ剣が動いていないのに剣の軌道から体をずらしていた。まるで剣の位置がわかっているみたいに。おかしいでしょう? だから私は思ったの。貴方が攻撃を先読みしていると」
豊姫が、人差し指の先で桃を回しながら解説する。常人離れした依姫の剣裁きを目で捉えられているあたり、豊姫の実力を窺える。
「そういうことでしたか。手応えが無いわけです」
「それだけじゃ無いわ。貴方の体、どういった仕組みかは知らないけれど、雷そのもののようね?」
「!」
「フフ、図星ね? ところで、今私たちの目の前にいる貴方は、貴方の能力で作った分身かしら?」
「違うと言ったら?」
ニヤリと口角をあげ、手に持った桃を握り潰し、電熱で炭にするエネル。その顔にはまだ余裕があった。
「殺すだけよ」
そう言って、豊姫はポケットから取り出した扇子をゆっくりと上にあげる。 心網で攻撃を読んだエネルは、堪らずに振り向く。
(何か来る! マズイ、避けねば!!)
「この扇子は、森を一瞬で素粒子レベルにまで分解できる。人に使ったことは無いけれど、貴方ちょっと危険だし、いいわよね?」
「させるものか!" 稲妻"!!」
「こちらのセリフです」
そう言って、依姫がエネルの真正面に一瞬にして移動し、攻撃を叩き斬る。豊姫が先程見せた能力によるものとは違い、脚力のみによる移動である。そして、依姫は扇子の攻撃範囲外から逃れるために横に移動した。
それを見逃すエネルではない。雷速で依姫の後を追い、常にエネルと豊姫の間に依姫が来るように移動する。
「あらら、これじゃ攻撃できないわね」
仕方なく、豊姫は扇子を閉じる。それを合図に、再三剣と棒をぶつける二人。
「くっ! 猪口才な!!」
「ヤハハハハ! そのソリュウシだか何だかよくわからんセンスとやらは使わせん!」
依姫は光すらも斬ることができる。だが、光の速度で動けるかどうかは別のこと。同様に、光速ほどでないにせよ、人間には捉え
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