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デート・ア・ライブ〜崇宮暁夜の物語〜
兎と騎士と獣
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、ぁ、ぁ・・・」

ざぁ、ざぁと。晴れていた空が暗くなり、雨が降る。その雨は〈クラレント〉が放出する熱を勝る勢いで強くなる。

「−−〈クラレント〉、出力最大」

バチィと電気が迸る音が響き、〈クラレント〉の一撃が襲いかかる。それが身体に触れる直前。 四糸乃は、天高く右手を上げていた。

--そして。

「・・・〈氷結傀儡(ザドキエル)〉・・・ッ!!」

災厄(てんし)の名とともに、それを、振り下ろした。

?

銀世界と化した天宮市。無数のビルの屋上を疾走する二つの影。そのふたつの影から時折、白い装甲が見え隠れする。地から見上げたとしても、その一瞬の出来事を視認することは出来ないだろう。それほどまでの速さ。

「暁夜、もっとスピードを上げて」

影のひとつがもうひとつの影にそう催促する。

「これが限界!我慢しろ、折紙!」

暁夜と呼ばれた影は、もうひとつの影の折紙に反論の声を上げた。彼らは、忍者のように屋上を駆けては次の屋上に飛び移るのを繰り返しながら、ここまで言い争っていたのだ。

「ってか走るより飛んだ方が速くない?」

暁夜はそう何度も尋ねてきたが、

「だめ。暁夜は長時間飛べない。それにいつも精霊と戦う前から微かに疲労してるのを知っている」

と言って折紙は拒否するのだ。

「だから何度も言ってんだろ。あれくらいの疲労なんて大したことないって」

「いつもそう言って、無茶ばかりしている。わたしは暁夜がいないと生きていけない」

その言葉は、折紙の過去を知る暁夜だからこそ理解出来る言葉。過去を知らない人からしたら愛の重い人間と思われるだけだ。だから、この言葉を、彼女の思いを踏みにじることは出来ない。

「はぁ。俺の負けだ」

「・・・ん」

降参の意を示すために両手を上げる暁夜を1度見てから、折紙は走る速度を上げた。暁夜もそれに合わせて速度を上げる。暫くして、暁夜達の視界に巨大な兎と白銀の機械鎧を纏う女性を捉えた。

「もうおっぱじめてんのかよ!」

暁夜は心の中で舌打ちして、腰の鞘に納められた〈アロンダイト〉を抜剣した。そして続けざまに、

「擬似大天神『トールΩ』解放ッ!!」

刀身に手を添えスライドさせた。瞬間、暁夜の全身を白黒色の火花が迸る。

本来の『擬似天神』は刀身に収束させることしか出来ない。だが、今回の『擬似大天神』は全身に纏うことが出来る。その代わり、代償は大きい。この機能を使用した後、三日ほどとてつもない疲労で動けなくなる。それもあり普段は使用しないようにしていたのだが、〈ハーミット〉とリンレイが戦うあの地に向かうにはこれしか無かった。〈ハーミット〉だけなら余裕で対処できた。しかし、リンレイは違う。彼女は化け物だ。敵味
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